WBA・IBF世界バンタム級タイトルマッチ 井上尚弥vs.ダスマリナス

6/20 10:30

井上、3回TKOで防衛 ドネアvs.カシメロ勝者との対戦に意欲

総括

3R・TKOで防衛に成功した井上【Getty Images】

 WBA・IBF世界バンタム級タイトルマッチの井上尚弥vs.ダスマリナスが日本時間20日、米国ラスベガスで開催された。ダスマリナスはIBF同級で1位にランクされ、165センチの井上に対し170センチと長身のサウスポー。下馬評で大きく上回る“モンスター”井上に番狂わせを狙い挑んだ。

 現地の歓声に迎えられた井上は「最初のジャブの瞬間に読めたかなと。最初の1発を合わせた瞬間で相手の弱気な姿勢が見えたので“こんなものか”っていうのがありました」と振り返る通り、序盤からダスマリナスの右ジャブに左フックを合わせ、プレッシャーをかけていく。

 2Rに入りさらにギアと圧力を増した井上は、右アッパーから繋いだ左ボディフックでダウンを奪取。ここは何とか乗り切ったダスマリナスだが井上の猛攻は止まず、3Rに左ボディフックで2度のダウンを追加しフィニッシュした。

 ダメージなく試合を終えた井上は、リングサイドでこの試合を見つめた対戦が噂されるノニト・ドネアとジョンリル・カシメロの勝者と戦いたいと語った。(文:長谷川亮)

ラウンド詳細

  • 試合前

    先に入場はダスマリナス。入場口では引き締まった表情を見せるが、リングインすると拳を上げ笑顔を見せる。
    続いて井上は軽くステップを踏み、パンチを振るいながら歓声に応えてリングに入る。

    リングコールではダスマリナスに対するブーイングが聞こえる場面も。一方、井上には歓声が集まる。

  • 1R

    サウスポーのダスマリナスは右ジャブを顔・ボディと送る。井上は早くもそれを読んだか右ジャブに左フックをかぶせる。これが浅くヒットする。
    フットワークを使ってリングを回るダスマリナス。井上は再び左フックを大きく振るって威嚇し、続いて右ストレートを伸ばしていく。

    井上は徐々にエンジンが掛かってきたか、ジャブ・右ストレートと力を込める。ジャブでダスマリナスの出方を探る井上。ボディアッパーもダスマリナスに打ち込んでいく。

  • 2R

    井上は前に出てプレッシャーを掛けていく。ダスマリナスが出てくるのに合わせて井上は左フック。ジャブも鋭く伸ばしてダスマリナスが前に出てくるのをけん制する。ロープを背にした展開を余儀なくされるダスマリナス。しかし左ストレートを顔、ボディと振るって井上を下がらせる。

    だがここで井上は右アッパーから左ボディフックを打ち込み、これにダスマリナスは顔をしかめて膝をつきダウン。
    立ち上がったダスマリナスに井上はしかし荒くならずに詰めていき、左ボディフックを2連発。何とかダスマリナスはこのラウンドを乗り切る。

  • 3R

    このラウンドも井上はダスマリナスに距離を詰め、2Rと同じく左ボディフックを振るう。腰が引けた様子のダスマリナス。井上はロープに詰め、右ストレートから左ボディフックを振るい、さらに左アッパーでもダウンを迫る。
    ロープを背にしたダスマリナスを追った井上は右ストレートから力を込めた左ボディフックで2度目のダウンを奪取。

    ダスマリナスは苦悶の表情で何とか立ち上がるが、井上は左アッパーから再び左ボディフックを打ち込み、ダスマリナスに3度目のダウンを与えフィニッシュした。

  • 海外メディアのインタビュー

    1位のダスマリナスを迎えて、いい勝負ができたと思います。
    ボディでも顔でもどちらでも倒せる準備をしてきたので、今夜出せてよかったと思います。
    1R相手の出方を見て、早い回で行けるのかなと確信を持てました。

    (ドネアとカシメロの勝者と試合をしたいですか?)もちろんです。

    (笑顔は)まず勝ったことの嬉しさ、ドネアvs.カシメロの勝者と戦えることが何よりです。ドラマチックなのはドネアとの再戦だと思います。

  • 日本メディアのインタビュー

    これぐらいの試合をしないとドネアとカシメロが見に来ているのでアピールできないかなと。

    思ったより出てこなかったなという印象で、自分のやりやすいように進められたのかなと。 最初のジャブの瞬間に読めたかなと。最初の1発を合わせた瞬間で相手の弱気な姿勢が見えたので“こんなものか”っていうのがありました。
    足も使い始めましたし、上は的が絞り辛い印象があったのでボディに切り替えました。

    今日の試合は80点ぐらいでどうでしょうか。足の運びだったりイマイチなところがあったので、そんな感覚でした。
    今回は相手のダスマリナスうんぬんではなくラスベガスでの期待感と、ドネアとカシメロが見に来ている中でどう自分を出し切れるか、そこが自分の中で課題でした。

    4団体統一に向けてという位置づけで臨んだ試合だったので、この後ドネアとカシメロの勝者と戦う方向に向けて精進していきたいと思います。また応援よろしくお願いします。
    (ラスベガスの試合は)やっぱり熱いなって。応援の仕方もお祭りみたいな感じがありました。

  • プロ3戦目、20歳になったばかりの若者には大きな試練になるはずだった。日本ライトフライ級1位の…

    (写真:アフロスポーツ)

    詳細を読む (アプリ限定)

最近の戦績

編集部ピックアップ