連載:プロ野球・スポナビ的新人王レース<中間発表>

山本昌が占う「セ・パ新人王レース」 気になる新人・若手投手を徹底解説!

大利実
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早川隆久(楽天)、栗林良吏(広島)などセ・パともに新人投手の活躍が目立つ今シーズン。山本昌の評価は? 【写真は共同】

 宮城大弥(オリックス)、早川隆久(楽天)、栗林良吏(広島)、伊藤将司(阪神)など、期待の新人・若手投手が次々に躍動している今季のプロ野球。数々のNPB史上最年長記録を打ち立てた球界のレジェンド左腕・山本昌さんが、し烈な新人王争いの行方を占うとともに、注目している若手投手について解説する。

プロのゾーンに対応できる宮城大弥の凄さ

プロ2年目の今季は開幕からローテーションを守り、勝ち星を重ねている宮城。キレのあるボールと巧みな投球術でどこまで結果を残せるか注目だ。 【写真は共同】

――今季はセ・パともに才能豊かな新人・若手投手が活躍していますね。

 そうですね。まずはパ・リーグから見ていくと、新人王の最有力候補はオリックスの宮城大弥投手でしょう。まだ高卒2年目の19歳。彼の凄さは、ストレートでも変化球でもストライクを投げられることです。高校野球とプロ野球のストライクゾーンを比べると、プロ野球のほうが3分の2ぐらい狭い。その中で簡単にストライクを取って、投手有利なカウントで勝負できていることがすばらしいです。

――試合を見ていても、ストライク先行でどんどん攻めている印象があります。

 ストレートの腕の振りがいいので、バッターは球速表示以上に速く感じているはずです。(球速表示上は)最速145kmくらいだとしても、体感では150km近いのではないでしょうか。また、左投手は右打者へのクロスファイアーが生命線と言われますが、宮城投手の武器は右打者へのアウトコース。打者の目から遠いところに、しびれるような球を投げ込んでいます。

――変化球はどうですか?

 左打者の外に逃げるスライダーのキレがいいですね。右打者の膝元にもしっかりと投げ込むことができています。

――高評価の宮城投手に次ぐのは誰ですか?

 楽天の早川隆久投手です。早稲田大学のときに取材をさせてもらいましたが、非常にクレバーで野球に取り組む姿勢がいい。ピッチングはコントロールが安定していて、試合を作る能力を持っています。プロ入り前から、「1年目からすぐに10勝できる力がある」と思っていましたが、大学時代のイメージのまま、プロでも投げている印象を受けます。

――ここまで12試合に登板して、7勝2敗、防御率3.30。宮城投手と比べると、圧倒的に抑えているイメージはありませんが、何か課題はありますか?

 全体的にボールがまだ高いですね。大学生であればファウルや空振りを取れていたボールが、プロでは打たれてしまう。このあたりは改善の余地があると思います。

――被打率を見ると、右打者(.214)よりも左打者(.303)を苦手にしている傾向があります。

 宮城投手のスライダーのようなウイニングショットになる変化球を覚えることができれば、変わってくると思います。後は左バッターのインコースをどれだけ攻められるか。フォークやチェンジアップをインコースに投げられるようになれば、左打者の被打率も下がってくるはずです。パ・リーグの新人王は、現時点ではこの2人のマッチレースになると思います。

佐々木朗希の能力は超一流

――今季のパ・リーグは、宮城、早川の両投手以外にも若い投手が頑張っています。

 勝ち運にこそ恵まれていませんが、日本ハムの伊藤大海投手のストレートは、今年のルーキーの中ではずば抜けた威力を持っています。今は先発ですが、クローザーでもかなりいい数字を残すのではないでしょうか。

――打線の援護に恵まれなかったこともあり、現在の成績は3勝4敗、防御率3.07。内容的にはもう少し勝っていても不思議ではないピッチングをしています。ピッチャーにとって勝ち星はやはり気になるものですが?

 はい、ピッチャーにとっては大事な記録です。勝ちが付くか否かには、大きな違いがあります。ただ、1年間やっていけば、実力どおりの結果が付いてくるもの。ぜひ、今のピッチングを続けてほしいですね。

――ここまで宮城、早川、伊藤と3人の投手の名前が挙がりましたが、他の投手はどうですか?
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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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