富樫勇樹がアウェーでつかんだ自信と課題 気負わず、焦らず、迷うことなく…

第2回

第3戦を終え、健闘を称え合う富樫勇樹と琉球の岸本隆一 【(C)B.LEAGUE】

 日本人プレーヤー初の1億円選手、千葉ジェッツの富樫勇樹にとって、残された名誉はBリーグのタイトルのみと言えるかもしれない。アメリカ、ヨーロッパへのチャレンジ、日本代表での活躍など、その実績は枚挙にいとまがないが、過去2回、アルバルク東京にファイナルで敗れたこと、特に前回ではあと一歩のところまで追い込んだのは記憶に新しい。コロナ禍の中で行われた今シーズン、タイトル奪取へ突き進む富樫を追っていく。

沖縄アリーナで感じたホームのエネルギー

決戦を前にリラックスした表情を見せることも 【(C)B.LEAGUE】

 試合終了のブザーが鳴り響いたとき、電光掲示板の数字は琉球71、千葉89。1勝1敗で迎えたセミファイナル第3戦を制したのは千葉ジェッツだった。試合後のインタビューで「タフな3連戦に勝ってファイナルに進出できたことにまずはホッとしています」と語った富樫勇樹は「正直、(3戦目に)もつれ込みたくないという気持ちはありましたが、3つ戦ったことで得たものは大きいと、今はそう思っています」と続けた。チャンピオンシップをアウェーで戦う厳しさはわかっていた。その覚悟もしてきたつもりだ。しかし、沖縄アリーナのコートで感じた“ホームのエネルギー”は想像以上のものだった。

 第2戦はそのエネルギーに背中を押されるように琉球が素晴らしいスタートダッシュを切る。「今日負けたら終わりという琉球のすさまじい気迫を感じた」(富樫)というように開始3分で14−0と千葉を圧倒。が、西村文男、シャノン・ショーターの3ポイントでつないだ千葉はじりじりと点差を縮め、前半を37−40で折り返した。さらに3クォーター開始2分半に同点に追いつくと64−59とリードを奪う展開へ。迎えた最終クォーター、一進一退の攻防が続く中、琉球の応援席から声にならない悲鳴が上がったのは残り4分19秒だった。ゴール下に切れ込んだ富樫に琉球の大黒柱ジャック・クーリーが5つ目のファウルを犯しコートを去ることになったのだ。富樫はきっちり2本フリースローを沈め72−66。流れはそのまま千葉に傾くかのように思われた。しかし、インサイドの要を失った琉球は今村佳太、田代直希の速攻で食い下がる。岸本隆一の3ポイントで2点差に詰め寄ると、キム・ティリの3ポイントで逆転に成功。こうなるとホームアドバンテージがよりものを言う。観客席から吹く追い風に乗った琉球は残り1分の攻防を制し84−78で息詰まるクロスゲームを勝ち取った。
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