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小川諒也と三笘薫の言葉で占う4・11決戦
多摩川クラシコを彩るブレない男たち
4月11日に開催される多摩川クラシコに向け、小川に話を聞いた
4月11日に開催される多摩川クラシコに向け、小川に話を聞いた【写真:松尾/アフロスポーツ】

 4月11日日曜日、味の素スタジアムで開催される第37回多摩川クラシコ。2020シーズンに二度の勝利を収め今季リーグ戦も首位を走る川崎フロンターレの優位は動かないが、FC東京にも意地がある。直近の国際試合に出場した日本代表選手たちの競演ともなるこの一戦を、東京の小川諒也、川崎の三笘薫、両雄の視点を借りて占っていく。

代表からJへの帰還

U-24アルゼンチン代表との第一戦(0-1)では思うようなプレーができなかった三笘
U-24アルゼンチン代表との第一戦(0-1)では思うようなプレーができなかった三笘【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

 Jリーグでは“無双”と言っていい活躍ぶりの三笘。しかし66分間出場したU-24アルゼンチン代表との第一戦(0-1)では思うようなプレーができなかった。


 これは能力の不足ではない。適応の問題だ。川崎に復帰したばかりの大分トリニータ戦でも2得点を決めたパフォーマンスを、代表の現場では発揮し切れなかった。


「南米の選手相手の間合い、チーム内での役割の違いに気づきました。そのうえで短い時間でもアピールしないとチャンスは出てこないなと感じました」


 ピッチに入ったときの皮膚感覚も含め、アルゼンチンとの大きな差はないと察した。しかし4-3-3のウイングよりも低い位置から攻守を始める4-2-3-1のサイドハーフでの役割には、川崎でのそれと同じようにはいかない差があった。「いろいろなポジションでやる必要性もすごく感じた」と、背番号18は言う。プレーの幅を広げていかなければという想いを携え、Jのフィールドに戻ってきた。


 一方、力の差があるモンゴル代表を相手に14-0の圧勝劇を演じたA代表で4-2-3-1の左サイドバックを務めた小川は、左サイドハーフの南野拓実と「眼を合わせる回数が多かった。自分が上がったときにいちばんクロスをあげやすいボールを出してくれて、すごくやりやすかった」という関係でフル出場を果たし、好感触を抱いてのクラブへの帰還となった。


「ボールがテンポよく回り、フォワードでタメをつくれたので、2試合ともサイドバックとしてはやりやすかった」


 技量の高い選手がそろうA代表の強さを東京に持ち込みたい、というのが小川の願いだ。「自分や森重(真人)選手など代表を経験している人間がもっともっとスピード感や高い意識を保ちながら試合に臨まないとこの先、東京がJリーグで優勝するような強いチームになっていかない」。代表での充実感をクラブでの危機感につなげている。

ブレない男たちがチームの中心に

「代表を経験している人間がもっともっとスピード感や高い意識を保ちながら試合に臨まないと」と小川
「代表を経験している人間がもっともっとスピード感や高い意識を保ちながら試合に臨まないと」と小川【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 共に日の丸をつけた試合で得た刺激を目前のJリーグに生かそうとしている小川と三笘。いまやそれぞれ東京と川崎の“顔”と言っていい存在だが、ブレないコンセプトを貫く両チームで彼らがレギュラーポジションをつかむまでには、ある儀礼を通過することが必要だった。


「長谷川(健太)監督は背後に落とすボールを高いレベルで求められています。そこをうまく出せるようになるまでには少し時間がかかりました。前線の選手を生かして速い攻撃の起点となる、そういった部分は成長したかなと思います」(小川)


「守備があまりよくなかった頃にもアシストや得点を重ね、そこの信頼はあったのではないかと思いますが、切り替えるところ、前からプレスバックするところなどで一定の守備はしないといけない。その基準を満たしたうえで、どれだけ自分のプレーを出せるか」(三笘)


 チームのタスクをこなすことも重要だが、一方で個の力を発揮しないと生き残っていけない。二人は組織と個の調和を求めることで成長を遂げてきた。三笘が掲げる己の武器は「ドリブルで相手を抜くところ、チャンスメイク、間に入ってのターン、アウトサイドのクロス」。対して小川は「左利きで、左足から得点を演出したいというプレースタイルは変わっていない」。課題に挑みながら突出したものを表現してきた、ブレない男たちがチームの中心に躍り出た。

現代サッカーへの適応

 ただ小川は現状に飽き足らず「長所をもっと伸ばしつつ、プレーの幅を広げたい」と、どん欲だ。具体的にはオーバーラップだけでなく、いわゆるインナーラップ、中に入って中盤を構成するプレーを増やしたいという。


 背景には、現代サッカーへの適応がある。モダンなサイドバックは、いわばスーパープレーヤー。守り、中盤を組み立ててチャンスをつくり、突破してクロスをあげ、フォワードのように点を獲ることもある。


「現代のサイドバックのイメージ、自分のめざしているイメージは、そういうことが全部できるもの。攻撃の面でサイドバックがゲームをつくれるチームが海外で増えてきて日本もそこに負けていられないと思いますし、ゲームメイクもできて得点に関与し、時にゴール前にも入っていくというのは理想です。やはり攻撃的に、得点に関わるプレーを増やしていきたい」


 三笘も、攻撃の才能にあふれた選手がハードワークをこなす現代サッカーへと適応する必要性を感じ取っている。


「世界もうまくて速い選手があれだけ守備をしているところは、ひとつの基準になっています。ぼく自身もまだまだ適応しているとは思っていなくて、自分の中の基準にもまだまだ足りていない。特に今回代表に行って、守備も求められながら攻撃で違いを出すという課題が出ました。代表では守備の比重はすごく増えますし、低い位置からのスタートでスプリントして前に出てそこから仕掛ける回数も増えてくるのですが、その強度も全然足りていない。プレーエリアの変化に適応しないといけないと感じます」

後藤勝

サッカーを中心に取材執筆を継続するフリーライター。FC東京を対象とするWebマガジン「青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン」 (http://www.targma.jp/wasshoi/)を随時更新。「サッカー入門ちゃんねる」(https://m.youtube.com/channel/UCU_vvltc9pqyllPDXtITL6w)を開設 。著書に小説『エンダーズ・デッドリードライヴ 東京蹴球旅団2029』(カンゼン刊 http://www.kanzen.jp/book/b181705.html)がある。【Twitter】@TokyoWasshoi

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