岡崎慎司、苦労を楽しんでやりがいに 「どうしたら自分が生きるのか」考える

工藤拓

レアル戦に向けて気持ちは高ぶっている

オンライン会見は50分にも及んだ。岡崎はひとつひとつの質問に丁寧に答えてくれた 【写真:工藤拓】

――厳しい残留争いが待っている中で、シーズン後半に楽しみにしていることは?

 僕が2部でやってきたプレー、ミチェル監督の中で1トップとして我慢して、ストライカーとしてボックス内で勝負ということを考えて、この17試合を戦ってきたんですけど、なかなかボールが来ないことにすごくフラストレーションがありました。

 今のサッカーはより前でフリーで動けるので、個人的にはポジティブにとらえています。自分次第でどうにでも動けるので。レスターでもそうだったように自分の判断で下がったり、前に上がったり、横に流れたり、いろんな選択肢がある中で、自分がもっとチームに貢献できる選手として何ができるか、リーガで何ができるのか、という部分が楽しみですね。もちろん、その中でストライカーとしての役割も果たしたいと思っています。残り16、17試合でどれだけできるか、楽しみですね。

――レアル・マドリー戦に向けて特別な思いは? レアル・マドリーはあなたにとってどんな存在ですか?

 どういうクラブかは、たぶんみんなの方が知っていると思うし、僕自身ももちろん知っています。ある意味、スペインでやるひとつのモチベーションであると思う。前回の対戦ではケガしてしまって出られなかったので。今回は先発なのか、途中出場なのかは分からないですけど、出るチャンスがあることに、自分自身もすごく気持ちは高ぶっています。そこで結果を残したいし、勝ちに行くことが僕らの目標なので。そういう意味では、チームとしてもいい準備ができているし、僕自身もチームに何をもたらすことができるか、という部分も今はすごく固まっています。早く試合したいですね。

――レアル・マドリーはベストの状態ではありません。勝つチャンスはあると思いますか?

 僕たちは前節、2勝目を挙げて、すごく自信もついています。特に守備に関しては、より整理されてきています。3バックでありながら5バックにもなり、守備してそこからカウンターでつなげるところも含めて、チームはすごく良いムードになってきています。レアル・マドリー相手にもそれができるか、という点では、すごく試される試合になると思います。レアル・マドリーがそこまで調子が良くないというのも、自分たちにとっては良い材料だと思うので、ここでしっかり良い戦いをして勝ちたいと思います。

スペインにきれいなサッカーは全然ない

これまで対戦した中で印象に残っている選手に、岡崎はセルタのスペイン代表FWイアゴ・アスパスを挙げた 【Getty Images】

――レアル・マドリーとバルセロナの2強が低迷し、競争が厳しくなっている今シーズンのラ・リーガの印象は?

 2部でもそうだったんですけど、1部ではより顕著で、僕らがイメージしているパスサッカーとか、きれいなサッカーというのは全然ないですね。やっぱりどのチームも勝利に貪欲で、戦術対戦術という試合になったり、より均衡した試合になるというか。ウエスカは引き分けが多いけど、他のチームも引き分けが多いなという印象です。得点数も少ないけど、そういう意味では攻防が激しいリーグだなと思います。監督にせよ、選手にせよ、そこにトップレベルの戦いがあるからこそ、難しいのかなと。オープンになりにくい試合が多いので、徹底しているなと思います。

 そこにうまい選手がちゃんとフィットしていて、2部よりも1部の方がクオリティーが上がるので、ゴール前もしっかりブロックを作って跳ね返されたり、自分たちがなかなか得点できない、僕自身も得点取れない、待っていてもボールが来ないというシーンがすごく多いなと思います。

 でも、今は苦労しているけど、そこに楽しさというか、やりがいを感じています。待っててダメだったら、じゃあどうしたら自分が生きるのか、を考えるのが、また楽しくなっているので。もっと時間があればというのが正直な気持ちですけど、やれる限りのことをやりたいなと思っています。

 どのリーグも新型コロナウイルスの影響があって、チームは本来の力を出せていない部分もあると思います。そんな中、勝負に徹底したアトレティコ・マドリーが首位にいるのは、納得できる部分もあります。僕らのチームも勝てる、勝ちに行くサッカーに切り替えていて、これがどういう結果になるのか、は自分たち次第だと思います。

――今シーズンここまで対戦してきた中で、特に印象に残っているチームや選手はいますか?

 スペインでしか見られない選手でいえば、やっぱりスペイン代表FWイアゴ・アスパス(セルタ)ですね。同じFWとしても、個人的にすごく注目しています。チャンピオンズリーグではなかなか見られないので。対戦してみて、FWですごく良い選手だなと思いました。「ザ・スペイン」じゃないけど、スペインで培ってきたものが感じられるというか、頭の良い選手ですね。何でもできて、なおかつゴールも、アシストもできて、すごく良い選手だなと感じましたね。

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著者プロフィール

東京生まれの神奈川育ち。桐光学園高‐早稲田大学文学部卒。幼稚園のクラブでボールを蹴りはじめ、大学時代よりフットボールライターを志す。2006年よりバルセロナ在住。現在はサッカーを中心に欧州のスポーツ取材に奔走しつつ、執筆、翻訳活動を続けている。生涯現役を目標にプレーも継続。自身が立ち上げたバルセロナのフットサルチームは活動10周年を迎えた。

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