連載:GIANTS with〜巨人軍の知られざる舞台裏〜

スマホから覗き見る巨人の“リアルな裏側” 「たまたま撮れた」その一瞬を逃さぬ執念

小西亮(Full-Count)

面白さの先に、巨人軍のブランド力向上を

昨シーズンから行っている“最も近い場所”で胴上げを撮影。部員内の雑談から生まれた企画をチームも快く受け入れてくれて実現に至った 【写真提供:読売巨人軍】

 気がつけば、当初の目標の登録者数30万人は軽く超え、11月下旬時点で36万人超に。Twitterは51万人超、Instagramは40万人超にのぼる。

「数字が増えているのを見ると、皆さんに知っていただけているのかなとは思いますね。他球団ファンの方々からもSNSでコメントをいただくこともあるので、うれしいなと」

 もちろん、全ての投稿やコンテンツが当たるわけではない。「この動画はバズるだろうと投稿したものが実はそうでなかったり、その逆もあったり…。視聴者の方々が何を求めているか、常に考えないと」。部員たちも、撮影方法やアイデアを巡らす。

 リーグ優勝の瞬間は、昨シーズンに続き、“最も近い場所”で胴上げを撮影。小型のアクションカメラ「GoPro」を選手の頭に装着してもらい、歓喜の輪にカメラが入り込んだ。昨年、「GoProで撮影できたら面白いんじゃないの?」と何気ない部員同士の会話から実現。企画を面白がってくれるチーム、実際に装着する若手選手らの協力がありがたかった。

 登録者やフォロワーが増えれば増えるほど、求められる水準も高くなってくる。「世の中にはエンタメがいっぱいある中で、目の肥えたお客様にも満足してもらえるものをつくっていけたらなと」。寄せられるコメントにも目を通し、ニーズも取り入れる。

「ファンを楽しませること」と「映像で選手の価値を高めること」を大切にしている柳舘さん。今の目標は公式YouTubeチャンネルの登録者数100万人だと語ってくれた 【スポーツナビ】

 コロナ禍で一層ファンはSNSに情報を求め、その需要に応えてきた今シーズン。7月からは球場にだんだんと観客が戻ったが、世の中は再び感染拡大の局面を迎えている。不透明な状況がたとえ続いても、果たすべき役割は変わらない。むしろ、さらに大きくなっていくとも思っている。

 柳舘さんが1、2年先に見据えるのは、登録者数100万人。

「皆さんが喜んでくれる動画をつくる。それを通じて選手の価値を高めることができれば、協力してくれることへの恩返しにもなるのかな」、スマートフォンやタブレット、パソコンを通してのぞき見るジャイアンツの世界。その空間を、面白さと驚きで満たしていきたい。

 きょうは何が撮れるだろうか――。そんな期待に胸を膨らませ、柳舘さんはカメラを回している。

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著者プロフィール

1984年、福岡県出身。法大卒業後、中日新聞・中日スポーツでは、主に中日ドラゴンズやアマチュア野球などを担当。その後、LINE NEWSで編集者を務め、独自記事も制作。現在はFull-Count編集部に所属。同メディアはMLBやNPBから侍ジャパン、アマ野球、少年野球、女子野球まで幅広く野球の魅力を伝える野球専門のニュース&コラムサイト

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