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騒動に揺れるバルサと覇気のないレアル
クラシコをきっかけに浮上できるか
メッシは歴代最多のクラシコ通算26ゴールを積み重ねてきた。衰えは隠せないが、鍵を握る存在になるはずだ
メッシは歴代最多のクラシコ通算26ゴールを積み重ねてきた。衰えは隠せないが、鍵を握る存在になるはずだ【Getty Images】

 ピッチ外の騒動に揺れるバルセロナと、ピッチ上で覇気のない試合を繰り返すレアル・マドリー。史上初の無観客開催となる10月24日のエル・クラシコは、両チームともネガティブな話題ばかりが目につく状況下でキックオフを迎える。


4-2-3-1の新システムは理にかなった選択

 バルセロナは相変わらずの“お家騒動”が続いている。今年だけでも「バルサゲート」(SNSを使ったジェラール・ピケ、リオネル・メッシらへの中傷疑惑)、エリック・アビダルSD(スポーツディレクター)や役員たちの相次ぐ辞任、メッシの退団騒動、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長への不信任投票、9700万ユーロ(約120億円)に上る昨季の赤字決済、チームが拒否している給料削減要請など、紙面のネタには事欠かない。数日前にもピケが執行部をボロクソにたたいているロングインタビューが話題になったばかりだ。


 チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝のバイエルン戦惨敗後にバルトメウ会長が公言していた大幅なチーム刷新も、コロナ禍が続く現状では思うように進んでいない。


 イバン・ラキティッチやアルトゥーロ・ビダル、ルイス・スアレスらをほぼ無償でライバルクラブにプレゼントした一方、目玉補強となるはずだったラウタロ・マルティネスは資金不足で獲得できず、フィリペ・コウチーニョ、ウスマン・デンベレの買い手も見つからなかった。ロナルド・クーマン監督が新たに彼らを戦力として受け入れたのも、そうせざるを得なかったからに過ぎない。


 とはいえ、そのコウチーニョが新たなポジションにハマり、生き生きとプレーするようになったことは思わぬ収穫だった。その意味で4-2-3-1の新システムは、持ち駒の生かし方を考えれば理にかなった選択だと言える。


 メッシを最前線に起用することで守備の穴は最小限となり、多すぎるアタッカーたちにはメディアプンタ(トップ下)の3ポジションが用意された。中盤ではフレンキー・デ・ヨンクがセルヒオ・ブスケッツの守備面での負担を軽減しつつ、攻撃面では自由に前に出て行くアヤックス時代の持ち味を発揮しやすくなっている。

“不良債権”となりつつあるグリーズマン

グリーズマンはいまだチームにフィットする気配がない。クラシコは正念場になりそうだ
グリーズマンはいまだチームにフィットする気配がない。クラシコは正念場になりそうだ【Getty Images】

 課題はデンベレ以上の“不良債権”となりつつあるアントワーヌ・グリーズマンの扱いだ。加入2シーズン目を迎えても一向にフィットする気配がない原因は、彼の特徴とチームが求めるプレーが根本的にズレているところにある。


 遅攻がほとんどのバルサにおいて、アタッカーに求められるのは相手の守備陣形が整った状態からでも個の力で揺さぶりをかけられる局面打開力である。ところが、彼は無難にパスをつなぐばかりで、相手に何の脅威も与えることができていない。本人は持ち味であるスペースへのフリーランを繰り返してパスを呼び込んでいるのだが、足元へのパスを確実につなぐ意識が染み付いているバルサの選手たちはその動きさえ見ていないのだ。


 そんなグリーズマンを現在のシステムで起用するならセンターFWしかないのだが、そこはメッシの定位置となっている。今やメッシを毎試合90分間起用し続けるメリットはなくなりつつあり、グリーズマンと併用していくことができればベストだと思うのだが、現状クーマンはメッシをピッチに立たせ続けている。


 ゆえにグリーズマンはこれまで主に右MFでプレーしてきたわけだが、このポジションでは突破力のあるデンベレやフランシスコ・トリンコンの方が明らかに良いパフォーマンスを見せている。クラシコではヒエラルキーと経験を重視して先発起用されるだろうが、今回も期待を裏切るようなら、いよいよ厳しい立場に追いやられていきかねない。

アンス・ファティが主役となる可能性も

ここまでチーム最多の4ゴールを挙げたアンス・ファティ。17歳の新星が主役に輝くかもしれない
ここまでチーム最多の4ゴールを挙げたアンス・ファティ。17歳の新星が主役に輝くかもしれない【Getty Images】

 退団騒動の影響もあってか、メッシもなかなか調子が上がってこない。今季はまだ流れの中から決めたゴールがなく、PKでの2ゴールのみだ。もはやプレーのキレやシュート精度の衰えは隠せず、これが33歳となった彼のノーマルなパフォーマンスになっていくのかもしれない。


 それでも巧みに緩急をつけてマークをはがすドリブルや正確無比なパスで多くのチャンスを作り出しており、バルサの攻撃に欠かせない存在であることに変わりはない。レアル・マドリー相手には2018年5月の対戦を最後にゴールから遠ざかっているものの、歴代最多のクラシコ通算26ゴールを積み重ねてきたクラックは今回も鍵を握る存在となるはずだ。


 それにゴールに関してはアンス・ファティがいる。これまでの公式戦でチーム最多4ゴールを挙げ、左MFのファーストチョイスとなった17歳は、メッシが失いつつあるスピードとキレ、そして驚異の得点力を兼ね備えた逸材だ。


 幸いジョルディ・アルバの復帰が間に合ったことで、バルサの攻撃は左サイドを中心に構成されるはず。大外のスペースはアルバに任せ、直接ゴールを狙える位置でメッシやコウチーニョと連携を築くことができれば、並み居るスターたちを尻目にアンス・ファティがクラシコの主役となる可能性も十分にあるだろう。

工藤拓
工藤拓

東京生まれの神奈川育ち。桐光学園高‐早稲田大学文学部卒。幼稚園のクラブでボールを蹴りはじめ、大学時代よりフットボールライターを志す。2006年よりバルセロナ在住。現在はサッカーを中心に欧州のスポーツ取材に奔走しつつ、執筆、翻訳活動を続けている。生涯現役を目標にプレーも継続。自身が立ち上げたバルセロナのフットサルチームは活動10周年を迎えた。

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