高校野球の名実況アナ・小野塚康之氏が最も印象に残っている高校生プレーヤーは?
実況席からずっと高校野球を見つめてきた小野塚アナ。担当した試合は地方大会も含めて700を超える 【平尾類】
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短い夏に高校生が放つ一瞬の光
「甲子園が家から見える」を条件に自宅を購入して10年が経つ。だが、今年は新型コロナウイルスの影響で、戦後初めて高校野球の春の選抜大会と夏の選手権大会が中止となった。当たり前の日常が訪れない――小野塚アナにグラウンドで戦う機会を奪われた高校生への思い、過去の高校野球の名勝負、最も印象に残っている高校生プレーヤー、実況に対する信念について語ってもらった。
「僕にとって野球は風物詩でもないし、スポーツでもないし、文化じゃない。生活そのものです。今年は高校野球がまったく開催されなかったので、体調がしばらくおかしかった。急に家族の1人がいなくなった感じですね。
甲子園に近い場所に住んでいるので、近所の人たちも高校野球が開催される時期になると『そろそろ始まりますね』と話すのですが、今年はそういう会話もなくなってしまった。必勝祈願で有名な素盞嗚(すさのお)神社を訪れる選手たちの姿も見られない。僕でさえこれだけ大きなショックを受けている。野球ができない高校生の心中は察するに余りあるものがあります」
小野塚アナは「野球に携わりたい」という理由で1980年にNHKに入局。初任地の鳥取を皮切りに金沢、札幌、大阪、東京、福岡、広島、神戸と渡り歩き、スポーツ中継の実況を長年務めてきた。高校野球の実況は地方大会、甲子園を合わせて700試合を超える。実況していて強く印象に残っている試合を聞くと、最初に挙げたのは甲子園の試合でなく、地方大会の決勝戦だった。
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