連載:GIANTS with〜巨人軍の知られざる舞台裏〜

“攻める”SNS発信「いい形で巨人を壊す」 気鋭の社長が積極活用する若手の発想力

小西亮
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元・テレビマンの今村球団社長が描く、新たなジャイアンツ像とは 【撮影:竹内友尉】

 昭和、平成の球史を彩ってきた伝統ある球団に、令和のいま、新風が吹き始めている。新型コロナウイルス感染拡大で野球活動が制限される中、巨人はSNSや動画を効果的に活用して選手らの新たな魅力を発信。4月に立ち上げた「WITH FANS」プロジェクトを旗印に、スポーツの枠にとどまらない多彩なエンターテインメントの提供を目指す。初の日本テレビ出身者として昨年6月に就任した今村司球団社長は、若手職員たちのアイデアを積極的に採用。ドラマやバラエティーで数々のヒットを生んできたやり手の元テレビマンが描く、新たなジャイアンツ像とは――。

世の中は心を動かされるものに飢えている

――プロ野球は3カ月遅れで開幕し、感染防止に気を配りながら観客動員も始まっています。

 まずは開幕ができたことは良かったです。まだ5000名以下ですが、お客さんを入れられるようになったのも、うれしいことですね。ただ、今だから言いますが、原(辰徳)監督は当初、無観客での開幕は全く考えていませんでした。私自身も同じ思いでした。やっぱり、プロ野球というものはファンの皆さんがいて、球場に来てくださってこそのスポーツだし、エンターテインメントなんです。開幕した今でも、そこにはこだわっています。

――本拠地の東京ドームでは、開幕や観客動員のタイミングでスタンドアートを実施するなど、魅せる工夫を凝らしています。

 東京ドームにあたかも満員のファンの皆さんがいるかのように、音響面などでも手をかけました。目を閉じれば、大勢の観客に囲まれているような気がしませんか? 選手たちの気持ちが乗ってくるような最高の舞台装置を、われわれは用意する義務がある。それはいつも心がけています。

――ただ、新型コロナによって球団とファンとの距離が離れてしまったようにも思います。

 私は球団職員たちに言いました。「開幕が延期になった分、プロモーション期間が長くなったと考えよう。SNSなどで、できることはどんどんやっていこうぜ」と。世の中は楽しいものや心を動かされるものに飢えているじゃないですか。そんな時に、巨人軍というコンテンツホルダーとして、どう選手たちを売り込んでいこうか、一般の人たちとの距離を近くしていこうかということを考えながらやっています。

――そんな思いを形にしたのが、4月に発足した「WITH FANS」プロジェクトということですね。

 原監督がいつもおっしゃっているんです。「われわれはいつもファンとともにある」と。TOGETHER WITH FANS――。その気持ちは常に持っていまして、これからもずっと続いていくプロジェクトなんだと思います。そこには、若い職員たちのアイデアが相当入っています。ジャイアンツという伝統がある分、古いだとか重いだとか固いだとかイメージがありますが、若い才能がうまく風穴を開けてくれているのがうれしいですね。

――菅野智之投手が自在に球速を操って投げる動画や、田口麗斗投手がチームメートのモノマネをする動画などバズった企画も多いです。
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