開幕前に感染者…批判受けても示した手本 「祭りを取り戻す」巨人社長が語る使命感
巨人にはファンとともに歩んできた歴史がある
野球の本質は熱狂であり、「祭り」だと語る今村球団社長 【撮影:竹内友尉】
空調や換気に絶えず注意を払っていかないといけないのは間違いありません。東京ドームの改修を発表させていただいた会見でも、これからは「熱狂声援型」から「快適体感型」になると言わせていただきました。ただ、野球の本質は熱狂だし、「祭り」なんです。なぜ、多くの人が球場やドームに来るのか。それは、みんな祭りに参加したい、興奮したいからです。
――確かに数万の人たちが同じ空間で喜びや感動をともにする瞬間は、何ものにも代え難い体験です。
言うならば、「青森ねぶた祭」を毎日やっているようなものですよ。それってすてきなことじゃないですか? 新型コロナの特効薬やワクチンができれば、絶対に熱狂は戻ってくると思うし、そうしていかないとエンターテインメントにならないと思います。だから今は、熱狂を取り戻すための準備期間だと捉えています。もう一度、野球と自分との距離感を見つめ直したり、野球の歴史や本質を見つめ直したりするインターバルなのかなと。
――矢継ぎ早に対策を打ち出す球団の姿勢には、球界のリーダーとしての意識もあるように見えます。
われわれが動くことは、影響力があると思っています。これまで巨人軍を築き上げてきてくださった先輩方に感謝しています。(前身の大日本東京野球倶楽部が設立された)1934年から始まり、86年。戦争を乗り越え、景気の浮沈も経験しながら存えてきました。そしてファンとともに歩んできた歴史がある。だからこそ、こんなコロナごときでやめるだとか、中断するだとかいうのは、少なくとも私が関係するところでは嫌だなと。それが巨人軍ってものだと思いますし、球界全体の一致した意見でもありました。
――コロナ禍において、球界をリードしていく巨人軍として真価が問われる時期でもあります。
巨人軍というものは、野球に懸けているエネルギーや費やしている時間の長さ、深さ、重さというものが、全然違う。それを私は球団に入って改めて思いました。そして今、コロナと向き合い、どうしていくべきかをすごく考えています。世の中のエンターテインメントが止まっている状況で、逆に野球を多くの人々に刷り込むチャンスでもある。そのための種まきを、SNSを中心にやっているところです。
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