交流試合で注目したい12人の逸材とは? 152キロ右腕・小林にはスカウトも熱視線

松倉雄太
「2020年甲子園高校野球交流試合」が、10日に甲子園球場で開幕する。春のセンバツ、各地区春季大会、夏の選手権大会が新型コロナウイルスの影響で中止となった、異例づくめの今年の高校野球。センバツ出場校を招待して各校1回ずつ試合をするにあたって、注目すべき12人の選手たちを紹介したい。

 投手は、150キロオーバーを記録したプロ注目右腕が複数登場予定だ。

智弁和歌山・小林樹斗(3年)

150キロを超える直球を連発する小林には、プロのスカウトも熱視線を送る 【写真は共同】

 和歌山県の独自大会では、主にリリーフとして登板。決勝では9回にマウンドに上がると最速152キロを計測し、3者連続三振。圧巻のピッチングで、4年連続の和歌山大会制覇に花を添えた。決勝で相手チームの4番に粘られても直球にこだわる姿勢や投げっぷり、そして直球の質はプロのスカウトも「交流試合が楽しみ」と高く評価している。左のエース・矢田真那斗(3年)、左腕・池田泰騎(3年)、右サイドの大林優平(3年)と、同学年にタイプの異なる4投手がそろうが、試合の最後を小林が締める展開に持っていきたい。

※智弁和歌山は17日の第2試合で尽誠学園と対戦

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健大高崎・下慎之介(3年)

 群馬県の独自大会では準決勝に進出(8月6日現在)。2回戦で7回、準々決勝で4回を投げ、2試合通じて1失点と安定感のある投球を見せている。184センチの長身から投げ込む、最速143キロの直球と変化球は切れ味抜群。特にスライダーは、高校生左腕としては一級品の評価を得ている。昨秋は群馬3位から関東大会を制し、神宮大会準優勝まで導いたが、夏は群馬を制して交流試合に臨みたい。秋季大会はチーム打率.404の帯広農を相手に、どんなピッチングを見せるか楽しみだ。

※健大高崎は16日の第2試合で帯広農と対戦

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大分商・川瀬堅斗(3年)

8月の交流試合では、念願の甲子園のマウンドで、堂々とした投球を見せる 【写真は共同】

 大分商ではエースで主将の大黒柱。開会式で花咲徳栄の井上朋也主将(3年)と共に選手宣誓を務める。大分県の独自大会では2回戦で敗れたが、5回から登板して最速148キロを計測するなど、快速球を披露。左太ももを痛めた影響で調子が上がらない中でのマウンドだったが、素質の高さは見せた。高校の先輩でもある広島・森下暢仁に憧れる右腕が、開幕戦で花咲徳栄の強力打線相手にどんなピッチングを見せるか。

※大分商は10日の第1試合で花咲徳栄と対戦

履正社・内星龍(3年)

 今夏急成長を見せる長身右腕。大阪府の独自大会では初戦で公式戦初登板初先発し、最速145キロを計測。雨天ノーゲームとなった3回戦、さらに4回戦でも先発し、岡田龍生監督の期待の高さがうかがえる。オリックス・山本由伸を意識したフォームの長身右腕に「素材型の投手。これからの成長が楽しみ」とスカウトも高評価。主将で捕手の関本勇輔(3年)、3番・三塁手の小深田大地(3年)と共にプロ志望を表明した。昨夏優勝投手のエース・岩崎峻典(3年)も控えており、どの場面でマウンドに上がるかにも注目だ。

※履正社は15日の第1試合で星稜と対戦

中京大中京・高橋宏斗(3年)

現時点では大学進学が有力視される高橋。決断に注目が集まる 【写真は共同】

 昨秋の神宮大会優勝投手。現世代で唯一の全国王者に輝いた右腕は東京六大学への進学を希望しているが、愛知県独自大会では最速152キロを計測するなど、プロのスカウトも「今年志望ならドラフト1位候補に入る」と残念がる。その中で、各球団が4年後を見据えて熱心に視察している。愛知大会は8日の準々決勝から決勝まで戦うと3連戦となり、そこから中1日で交流試合に突入することになる。1週間500球以内の投球数制限を考慮ながら、どんな起用法になるかにも注目が集まる。

※中京大中京は12日の第1試合で智弁学園と対戦

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明石商・中森俊介(3年)

独自大会では延長でサヨナラ負けと悔しさを味わった中森。大舞台でのリベンジに期待したい 【写真は共同】

 1年夏から甲子園に出場し、全国の球児も対戦を熱望する声が多かった、世代で最も知られた右腕は、兵庫県の独自大会でも貫禄のピッチングを見せてきた。だが、7日の5回戦では150キロをマークするも、延長11回にサヨナラ負けと悔しさを味わった。

 狭間善徳監督が特に評価しているのは頭の良さ。打者を見極め、ピッチングの中で強弱をつけるクレバーさは高校生離れしている。ただ、「まだ完封したことがない」と指揮官は厳しい評価も忘れない。そのことは本人も十分分かっており、伸びしろの大きさも感じさせる。高校最後のマウンドとなる甲子園で、目標としていた完封を果たすことができるか。

※明石商は16日の第1試合で桐生第一と対戦

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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