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キズナ
近江高校一家で育った世代屈指の遊撃手
「ボールが友達」だった土田龍空の幼少期
プロのスカウトも注目する世代屈指のショート、近江高・土田龍空は、一家全員が近江高校出身という家庭環境で育った
プロのスカウトも注目する世代屈指のショート、近江高・土田龍空は、一家全員が近江高校出身という家庭環境で育った【写真:本人提供】

 1年生の夏に甲子園デビューを果たし、以降は打線の中核を担ってきた土田龍空。高校通算29本塁打を誇るスラッガーとしてだけでなく、華麗なグラブさばきも魅力で、高校生を代表する遊撃手として日に日に注目度は高くなっている。先日は木製バットを使って本塁打を放ち、視察したプロのスカウトの目を虜(とりこ)にした。


 そんな土田の父・孝則さん、母・吏佐(りさ)さん、そして姉の朱香(しゅうか)さんの家族全員が、実は近江高校で学んでいるのだ。

さまざまなボールが転がっていた土田家

姉の朱香さん(右)と土田龍空(左)。龍空は幼少期からさまざまなボールと親しんでいた
姉の朱香さん(右)と土田龍空(左)。龍空は幼少期からさまざまなボールと親しんでいた【写真:本人提供】

 幼い頃の龍空について、母・吏佐さんは「体を動かすことが好きで、ずっと外で遊んでいる子どもでした」。父の草野球を見に行くうちに自然と野球に興味が湧くようになり、2歳の頃から軟式ボールに触れるようになった。土田家には野球以外のさまざまなスポーツに触れる機会がたくさんあった。


 吏佐さんがバレーボールをやっていたこともあり、野球ボール以外にも家にはバレーボールやサッカーボール、テニスボールにラグビーボールやゴルフボールまで、あらゆるボールが転がっていたという。龍空はその数々のボールの中で好きなものを選んで、家の前の車通りの少ない道や公園、広場を駆け回っていた。言ってみれば、幼い頃の龍空にとってボールは遊び道具。小学校2年から地元のスポーツ少年団に入団し、軟式野球をはじめることになったが、野球があるのは週末の土日のみ。平日は、母の計らいでバレーボール教室や体操教室に通ったこともある。加えて、今でも好きなスポーツがもう1つある。地元は滋賀県北東部の米原市。近くにスキー場がある伊吹山があり、小学校1年の時、冬場はスノーボードに興じていた。だが、最終的にたどり着いたのは野球だった。


「基本的に運動は今でも何でも好きです。小さい時から家にこもっていることはなかったし、テレビゲームもほとんどしませんでした。ゲームをやってはいけない、という決まりはなかったんですけれど、やってもハマることはなかったですね。だから、今友達とゲームをしても、自分は全然できなくて(笑)。家にいるより外にいる方が自分には合っているのかもしれないです」

野球の楽しさにのめり込んでいった小学生時代

 数々のスポーツに触れながらも、本格的にやるなら野球しか考えられなかった。周囲にはサッカーをやっている同級生が多く、野球チームに入ると自分たちの学年はわずか3人のみ。それでも軟式ボールを追いかける楽しさは変わらなかった。


 野球を始めた頃は三塁手。チーム事情で5年生から捕手もはじめた。父・孝則さんによると龍空は幼い頃から肩が強く、2年生で入団した時も2学年上の4年生主体のチームに帯同するほど同級生の中でもポテンシャルは抜きんでていたという。


 龍空は昔から負けず嫌い。やんちゃな性格も手伝って、外で遊んでは生傷も絶えないほど元気良く走り回る子どもだった。小学校の時は学校が終われば遊びはもっぱら野球。「家に帰ってバットとグローブを持って、近くの公園にほぼ毎日行っていました。あの頃はとにかく打つのが楽しかったです。お父さんには『公園で打つ時の感覚を試合では忘れないようにしろ』とよく言われていました。普段のように、気楽にバットを振った方が打てるということだったと思います」


 龍空の幼少時代の野球は、楽しい遊びの延長だった。幼い頃から野球=楽しみという概念が植え付けられ「もっと飛ばせるようになりたい。もっとたくさんヒットを打ちたい」という欲をかきたてられていた。ただ小学校のチームは孝則さんがコーチを務めていたため、指導は厳しかった。当時、よく言われたのは“気分で野球をするな”という言葉だった。


「ミスしてすぐに下を向いてしまったら、次のプレーに影響してしまう。どんなことがあっても切り替えが大事だと。引きずっていたら、ものすごく怒られました。でも、その翌日の試合ではなぜかいい結果が出ていることが多かったです。その都度父から厳しいことを言われて、気が引き締まったからだと思います」

沢井史

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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