五輪中止も想定 コロナ禍でも試合機会を 宮崎強化本部長に聞く、卓球界の新強化策

平野貴也

東京五輪1年延期の影響は? 五輪でメダル獲得が期待される卓球の現状を追った(写真は日本代表合宿に参加する張本) 【写真提供:日本卓球協会】

 コロナ禍をどう進むのか――各競技界が活動を制限しながら、歩む道を模索している。卓球は、まだ国際大会の再開の目途が経っていない。日本卓球協会は、日本代表の活動を6月22日〜7月18日で行ったが、2016年のリオデジャネイロ五輪で日本男子初のメダルを獲得した水谷隼(木下グループ)ら一部の選手は参加しなかった。また、選手間の距離が近くなるダブルスの活動を、当面の間、禁じている。先行きが不透明な中、どのように代表強化を進めていくのか。日本卓球協会の宮崎義仁強化本部長にオンラインで話を聞いた。(取材日:7月6日)

代表合宿が再開 不安は「まったくない」

――6月下旬に日本代表の合宿が再開しました。現在の活動状況を教えてください。(注:取材時は合宿開催期間中)

 日本代表の合宿が再開し、6月22日から7月18日まで、味の素ナショナルトレーニングセンター(以下、NTC)で練習を行っています。選手は、それぞれに母体となるチームや自宅で練習を重ねていたので、初日から順調に進んでいます。ただし、日本卓球協会で策定した、新型コロナウイルス感染症対策のガイドラインにより、活動を禁じているダブルス種目だけは、残念ながらまだ再開していません。

――不参加の選手もいるようですが?

 数名の不参加選手がいるのは、事実です。ナショナルチームは、スタッフも含めると50人程度の集団となります。不参加の理由は、「まだ大人数の中での活動が不安」、「長距離の移動は避けたい」という選手個人が判断するケースと、所属先であるチームが「まだ合流させたくない」と判断するケースの2つが主です。その状況下で男女の両監督は、ネット会議や携帯のアプリを用いて、代表合宿に参加していない選手の体調や練習状況の報告を受けています。

――足並みをそろえるのが難しい状況で、強化に不安は?

 まったく、ありません。元々、選手に「競争」と「強化」の場を提供するのは私たち強化部ですが、それを勝ち抜いてくるのは選手であるという考え方を持っています。コロナ禍とは関係なく、代表合宿に参加するかしないかは、選手の自由です。無理にでも来なさいと言ったことは、今までもありません。ですから、選手が合宿に参加しないため、評価ができずに不安を感じるということはありません。むしろ4月10日から5月末まで、NTCが活動の自粛要請を受けて閉鎖されてしまい、選手に何もしてあげられない状況になったことが申し訳ないと感じていました。

すでに代表選手すべてが内定している卓球。各選手はそれぞれの場所で、練習に励んでおり、「心配はしていない」(宮崎強化本部長) 【写真提供:日本卓球協会】

――コロナ禍で活動が制限される前の1月に東京五輪の日本代表選手が決定していたことで、落ち着いて対応できている部分はありますか?

 代表選手が決まっていない競技団体は、大変だと思います。代表選手に決まっているからこそ、選手は自覚を持って過ごせていると思います。やはり、目標を持って過ごす選手は、自然と取り組みに対する意識も高くなります。日本代表の合宿に参加していなくても、所属チームで一生懸命に練習していることは間違いありません。その点では、代表選手が決まっていて良かったと感じています。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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