連載:Bリーグ特別対談

田渡凌×藤田慶和(セブンズ日本代表) 同い年で仲良しな2人の共通点は?

ダブドリ編集部

前編

プライベートでも親交があるという田渡選手(写真左)と藤田選手 【写真:三浦雄司】

 Bリーグの選手と他スポーツの選手や著名人が対談する本企画の第3回は、昨シーズンのBリーグ・アワードで見事MIP(最優秀インプレッシブ選手)を受賞した田渡凌選手(広島ドラゴンフライズ)が登場。同い年で大の仲良しだというラグビー藤田慶和選手との対談は、笑いの絶えない和やかなものとなった。前編のテーマは2人の共通点。父親が監督というアスリート一家に生まれた2人だが、果たしてどんな教育を受けて育ったのだろうか。

気持ちが入っていないプレーをしたときは父親に怒られました(藤田)

――田渡選手も藤田選手もお父さんが監督という共通点があります。監督がお父さんというのは、アスリートにとってどういうものなのでしょうか?

田渡 (ラグビーが)嫌になったことある?

藤田 嫌になったことはないけど、怖かったね。

田渡 それは俺もあるね。

藤田 人一倍厳しくされたので。

――他の子供たちに「ちゃんと俺は息子に厳しくやってるぞ」と示す必要があったということですか?

田渡 それが半分以上の理由だと思います。あとは期待してくれたというのもあるよね。

藤田 そうね。「こいつならできる」というのは心の奥底に持って指導してくれてたと思います。だから厳しくやってくれたんじゃないかなと思っています。

――お父さんとのエピソードや、覚えている言葉はありますか?

藤田 僕はラグビーを始めたきっかけが父親なんです。小学校2年生か3年生のときに、野球チームの体験に行ったんですよ。体験に行けばハンバーガーもらえるというので、ハンバーガー目的で行ったんです。

田渡 マクドナルドの券みたいな。

藤田 そう、そういうやつ! そこに行ったら、チームに勧誘されたんです。僕もその気になって、カンボジアに出張に行っていた父親に電話で「野球する」と伝えたら、「ちょっと待て、連れて行きたいところがある」と言われまして。実はうちの父親は『スクール☆ウォーズ』のモデルになった伏見工業の出身で、山口先生(山口良治。ドラマ『スクール☆ウォーズ』の主人公滝沢賢治のモデルとなった名伯楽)とも仲がいいんです。それで伏見工業の菅平の合宿に連れていかれて、高校生や山口先生からラグビーボールで遊んでもらい、最終日に父親にショップの前で「ラグビーやるんやったら、一式全部買ってやるぞ」と言われました。

一同 (笑)。

藤田 そこから僕のラグビーが始まったんです。

田渡 お父さんすげえな、プレゼンの仕方が。

一同 (笑)。

田渡 俺はお兄ちゃんがいるので、自然と始めてた。長男はきっかけがないと始めないもんね。たしか小学校のチームはすごく強かったんだよね?

藤田 強かったよ。僕らができて4年目だったんですけど、関西のチームには敗けたことなかったですね。僕らのときは全国と試合する機会がなかったんですけど、僕の弟の代で日本一になりました。創部7年で日本一なので、父親は指導者としても優秀なのかなあと思います。

プレゼン上手の父上に似たのか、トークにしっかりオチをつける藤田選手 【写真:三浦雄司】

――お2人とも若い頃から有名選手でした。外野から見るとエリート街道ですが、プレッシャーや挫折はありましたか?

田渡 昔は試合に敗けたら毎回泣いてた。

藤田 俺はあんまり敗けたことがなかった。

田渡 ああ、そうか。

藤田 オーストラリアのチームと試合して敗けたのと、あと大阪の連合チームと試合したときに敗けた。6年生のときは80何戦して、敗けたのその2つだけなんよ。そのときは相当泣いたね。

――そこまでいかないと敗北を知れない(笑)。

田渡 すげえな(笑)。僕は練習試合で勝てないだけで「クソっ!」て言って泣いてましたね。すごく負けず嫌いでした。敗けるたびに、イライラもしていましたね。挫折とは言わないですけど、それが頑張ろうというモチベーションにもなっていました。

――敗けて泣いているとき、お父さんは励ましてくれましたか?

田渡 励ますというより「とりあえず練習だな」という感じです。お父さんに言われて一番覚えているのは、僕が消極的なプレーをして敗けたときがあったんですけど、帰りの車の中で「おまえがシュートを打って外して敗けるならいいけど、何もやらないで敗けるのは俺は絶対に許さない」と言われたことです。その次の試合に活躍して勝ったこともあって、それはすごく覚えていますね。

――藤田さんのお父さんは、試合に敗けたあとどういうお話をされていましたか?

藤田 敗け試合のあとというより、気持ちが入っていないプレーをしたときはかなり怒られましたね。活躍しようがしまいが。

――活躍しててもですか?

藤田 はい。小学生のときからずっとやってきたので、気持ちが入ってないのがわかるみたいなんです。そういう試合のあとは、監督ではなくなった中学のときでも怒られましたね。

――あとから振り返ってみて、昔の自分にはそういう言葉が必要だったと感じますか?

藤田 そうですね。気持ちの入っていないプレーをすると相手にも失礼ですし、そういうところを小さい頃から父親はずっと言い続けてきたのかなと今は思っています。

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著者プロフィール

異例の超ロングインタビューで選手や関係者の本音に迫るバスケ本シリーズ『ダブドリ』。「バスケで『より道』しませんか?」のキャッチコピー通り、プロからストリート、選手からコレクターまでバスケに関わる全ての人がインタビュー対象。TOKYO DIMEオーナーで現役Bリーガーの岡田優介氏による人生相談『ちょっと聞いてよ岡田先生』など、コラムも多数収載。

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