YouTuber那須大亮の使命とは? 「今こう思ってるよ」選手目線で伝えたい

元川悦子

那須さんは若手注目株のひとりとして川崎の田中碧(右)を挙げる。Jリーグをけん引する存在となれるか 【Photo by Etsuo Hara/Getty Images】

――そのなかで特に優勝候補を挙げるなら?

 神戸は優勝するなら今年かなと。条件はそろっていますね。フィンク監督もマネジメント力がすごく高い。去年もルーカス(・ポドルスキ)や(ダビド・)ビジャがコンディションの悪かったときは思いきり(メンバーから)外しましたし、その意図がしっかり本人にも伝わっている。他の選手を活気づかせる要因になったと思います。選手との距離感の取り方もうまくて、僕は出てなかったですけど、常に信頼感は抱かせてくれた。ミシャ(札幌のペトロヴィッチ監督)は出てない選手に常々声を掛けていましたけど、そういう選手を納得させる器量はやはりすごいと思います。

――監督目線で見てますね。

 僕も一応、JFA公認B級指導者ライセンスを取ってますからね(笑)。フィンク以外だと、岡田さん(武史=FC今治代表)とネルシーニョはマネジメントがうまいと感じました。その人の持ってる言葉の力も大きい。フィンクやネルシーニョは通訳を介して話すんですけど、熱量がしっかりと伝わってくる。そこは驚かされました。

――岡田さんはどうですか?

 岡田さんから言われて、個人的に印象に残っているのは「我慢」かな。マリノス時代に19人目になって、たまたまエレベーターで乗り合わせた岡田さんに「我慢」って言われたんです。ホント一言だったけど、すごく励まされましたし、「この人は自分を見てくれている。この監督のために頑張ろう」って思えた。そういう言葉を発することができるように自分も努力していきたいです。

――注目選手の方はいかがですか?

 まずベテランではヤットさん(遠藤保仁=G大阪)と憲剛(中村=川崎)さん。ヤットさんはJ1最多出場記録を作りますし、憲剛さんはケガから復帰してどこまで輝いてくれるのかが興味深いです。

 若手はやっぱり東京五輪世代ですよね。田中碧(川崎)や橋岡(大樹=浦和)、大迫(敬介=広島)には頑張ってJリーグを引っ張ってほしいし、上田綺世(鹿島)も楽しみですね。超若手だと西川潤(C大阪)。少し時間がかかるかもしれないけど、今季は連戦なんで試合に絡める機会が多くなる。大きなチャンスだと思います。

 中堅だと宇佐美(貴史=G大阪)、柿谷(曜一朗)の天才ふたり。撮影に行って人柄がメチャ気に入りましたからね(笑)。宇佐美君は明るくて気を使ってくれるし、柿谷君はセレッソへの思い入れが物すごい。ぜひ輝いてほしいです。もうひとり挙げるとしたら、古橋享梧(神戸)。彼はサナギからチョウになるタイミング。連戦でどれだけ点に絡むか期待ですね。

YouTuberとしての今後の展望

――YouTuber那須さんにとって、あらためてサッカーの魅力とは何ですか?

 人生を変えてしまうもの。それは選手にとどまらず、サッカーに関わるすべての人にとってそうだと思います。大企業を辞めてクラブスタッフになったりする人もたくさんいる。そこまで人の心を動かすものがサッカーにはあるんです。世界中を巻き込むところも素晴らしい。そんな魅力をみなさんに感じてもらうこと。それが自分の使命なんです。

――今後やってみたいことは?

 海外に行けるようになったら、ビジャの家に行こうかなと(笑)。ルーカスや元気(原口=ハノーファー)もいますし、そんな企画も考えたいです。いずれにせよ、いつかコロナは終息するはず。そのときにみなさんにスタジアムに足を運んでいただけるように、僕なりに灯をともし続け、発信していくことが一番大事。多くの人々に「もっとサッカーを応援したい」と思ってもらえるような面白いストーリーを提供することに努めていきます。

那須大亮(なす・だいすけ)

【スポーツナビ】

鹿児島実業高校を経て、2002年駒澤大学3年時に、大学生Jリーガーとして横浜F・マリノスに加入。04年にはアテネオ五輪にも出場を果たす。その後は08年に東京ヴェルディ、09年にジュビロ磐田、12年に柏レイソルへと移籍し、13年に移籍した浦和レッズ時代は、リーグ32試合でチーム3位の9ゴールと、それまで自己最多であった3ゴールを大きく更新する活躍を見せ、自身初となるJリーグベストイレブンに選出された。18年にヴィッセル神戸へと移籍し、23人目となるJ1リーグ400試合出場を達成。19年12月の現役引退後はYouTuberとして活躍し、チャンネル登録者数も24万人を超えるほどの人気ぶりを見せている。

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著者プロフィール

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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