連載:コロナ禍が高校・大学・Jクラブに与える影響

高校サッカー有力3選手に思いを聞く インハイ中止をどう受けとめたのか?

吉田太郎

絶対に選手権を獲りたい

大宮U-15でプレーした須藤(中央)が、クラブを離れ昌平でサッカーをする道を選んだのは選手権優勝を果たすため。辛い状況にあっても、強い決意を胸に抱き続けている 【Photo by Hiroki Watanabe/Getty Images】

●須藤直輝 (すとう・なおき)
(昌平高3年/MF)
[出身地]埼玉県
[生年月日]2002年10月1日
[身長・体重]168cm・62kg
[経歴]大宮アルディージャU-15→昌平高
[代表歴]U-15、U-16、U-17(候補)

 MF須藤直輝(3年)は近年急激に台頭してきている昌平高校(埼玉)で入学当初から10番を背負う名手だ。昨年度の全国高校選手権で2年生ながらキャプテンマークを巻いた須藤は、テクニカルなドリブルで幾度もチャンスを生み出し、自身も2ゴール。チームの全国8強に貢献し、2年連続で日本高校選抜候補に選出されている。すでにJ1クラブの練習への参加も経験。一方で学力も高く、大学進学も見据えている選手だ。

 コロナ禍によるインターハイ中止発表に1週間ほど立ち直れなかったという須藤だが、他競技の選手たちが切り替えてSNSに前向きな発信をしているのを見て、気持ちを奮い立たせた。「自分もキャプテンですし、高校サッカーの中で発信力がある立ち位置にいるので、自分がヘコんでいたらダメなんじゃないかなと思って、『じゃあ、選手権に切り替えてやろう』という気持ちになりました」

 高校サッカー界で注目されている選手として、自分に何ができるのか考えた。そして、ツイッターやインスタグラムを活用してインターハイ中止によって落ち込む高校生を勇気づけたという。

 また、チームメイトには「インターハイがないから、オレは絶対に選手権を獲りたい。この期間を勉強だけでなく、サッカーに時間を費やして自分の課題と向き合ってほしい」とメッセージ。首都圏にある昌平は他地域に比べて、練習再開までの道のりが遠い。“サッカー小僧”の須藤は「つらいです」と口にするが、それでもJクラブアカデミーから高校サッカーを選んだ理由である選手権優勝のため、また将来のために自主練、自宅学習を両立しながら練習再開の日を待ち続けている。

 コロナ禍で多くの人に支えられていることを再確認したMFは、サッカーで恩返しするという考えだ。「たくさんの人が応援してくれているので、このつらい状況で自分たちが日本中に希望、笑顔をサッカーで届けたいと思っています」。選手権優勝という決意とこの思いは常に持ち続けていく。

 プロ入りか、大学進学か、注目の進路については、「五分五分で決まっていないです」という状況だ。Jクラブのキャンプには参加したが、普段の練習への参加も希望。また、大学の環境をしっかりと見た上で、プロ、大学のどちらへ進むかを判断する。進路決定が遅くなることや、選択肢が少なくなるのは覚悟の上。情勢が変わってから、可能な限り候補の環境、雰囲気、練習に触れてから、将来のためにベストの選択をする。

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