連載:見抜く力 阿部慎之助の流儀

第2の野球人生は「未来を見抜く」 阿部慎之助、指導者としての挑戦

長南武、金子卓麿
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最終回

2020年は「指導者・阿部慎之助」として新たな戦いが始まる 【写真は共同】

 2019年11月1日。指導者・阿部慎之助の人生が幕を明けた。

 一軍の練習は午前11時11分、二軍・三軍の練習は午後1時スタート。阿部が球場に姿を現したのは午前8時過ぎのことだった。首脳陣によるミーティングを終えると、選手とスタッフに就任の挨拶をするため一軍の練習グラウンドへ向かう。

 その道中、「ユニフォームがダボダボで違和感しかないよ」とこぼす。現役時代はオールドスタイルと呼ばれる、ユニフォームのパンツを膝まで上げてストッキングを見せるスタイルでプレーしていた。だが新調したパンツは踵まで丈がある。着心地も見た目も本人には違和感だらけだった。

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 この日はおよそ1000人ものファンが詰めかけ、グラウンドに歩を進めると歓声が聞こえてきた。

「今日ユニフォーム披露したほうがいいのかな。でもまだできてないから見せられないな」

 阿部は指導者として始動する前からファンサービスに気を回した。新しい背番号は80に決まっているが、お披露目は年明けの春季キャンプになる。

 全選手が円陣を組み、ミーティングが始まる。原監督に促され阿部は指導者としての第一声を発した。

「おはようございます。二軍監督をやらせていただきます。最近までみんなと一緒にやっていたので監督と呼ばれるのがまだ違和感があります。そしてこのロングパンツも違和感があります。

 早く慣れるように、ファームの選手は若い選手が多いし、僕らも若いので一緒に汗をかいて頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします」
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著者プロフィール

1967年生まれ。早稲田大学商学部卒業後、フリーディレクターとしてスポーツを中心とした数多くの映像番組の取材や演出、構成を手掛けている。

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