阿部は「できないことを見極める」 試合に出ることだけが全てではない
第4回
開幕前、万全ではない阿部を救ったのは指揮官の一言だった 【写真は共同】
「これから長いシーズンが始まるけれど、お前さん、将来のために自分が監督だと思って野球を見なさい」
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「キャッチャーで復帰するならあと半年かかるな」
1カ月前に傷めた左ふくらはぎはいつ悲鳴をあげるか分からない状態。キャッチャーの構えから立ち上がる動作がままならない。だが心の状態は一時よりも上向いていた。心の空模様は雲一つない快晴とは言えないが、雲の合間に青空が覗(のぞ)いている。
きっかけをくれたのは誰あろう原監督だった。3月中旬、三軍での調整中にメッセージが届いた。
「自分でキャッチャーに戻ると言って、プレッシャーをかけすぎちゃったか? 気楽にいこうぜ」
救われた。そうか、チーム全体を見渡せば、銀ちゃん(炭谷銀仁朗)も誠司(小林)も大城(卓三)もいる。キャッチャーは俺一人じゃないんだ。
監督が代打やファーストで使ってくれるなら、それに備えればいいじゃないか。監督は選手の俺よりもずっと大きな地図でものごとを見ているんだから。そう考えると、ずいぶん気持ちが楽になった。
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