連載:春のセンバツ キラリと光る球児を探せ!

仙台育英・笹倉世凪は“東北の宝” 試行錯誤が続くも、投打にあふれる才能

大利実

投打の軸として仙台育英を悲願の日本一へ導く

バットを持って撮影に応じる笹倉。打撃だけでなく、本来の堂々とした投球も取り戻したい 【撮影:大利実】

 取材後、写真撮影をお願いした。

「グラブを持つか、バットを持つか、どっちがいい?」と聞くと、しばし考えたあと、「バットでお願いします」。今は、バッターへの意識が高いことが分かる言葉だった(結局、両方撮影した)。

 でも、“今は”である。

「プロを目指すなら、ピッチャー。昨年の秋、須江先生には『ピッチャーでドラフト1位を目指すには、今の練習量では足りない。もっと、ピッチングと向き合わなければいけない』と言われました。冬はピッチャー7、バッター3ぐらいの割合で練習しています」

 10メートルほどの距離でのネットスローに時間をあて、フォーム固めに力を入れる。腕の角度に関しては、まだ試行錯誤している段階でもある。

 撮影を終えたあと、須江監督から「笹倉どうでした?」と聞かれたので、「ピッチャーに対して不安があるようでした」と感じたことをそのまま伝えた。

 すると、「そうなんですよね」とうなずいたあと、投手・笹倉への期待を語った。

「投げている球は良くなっていて、状態も上がってきています。あとは成功体験をどれだけ積めるか。左で149キロ投げるわけですから、積んでいるエンジンが違います。間違いなく、規格外。“東北の宝”であることに変わりはありません。順調に成長しています」

 投打両面で規格外のスケールを見せることができれば、おのずと結果は付いてくる。仙台育英の悲願である日本一へ。”東北の宝“に大きな期待がかかる。

(企画構成:株式会社スリーライト)

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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