連載:プロ野球 あの人はいま

球界、芸能界の大御所に慕われた福井敬治 一からスクールを築いた男の「第2の目標」

前田恵
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広島を退団した後、茨城ゴールデンゴールズの一員となった福井。「欽ちゃん」こと萩本欽一さんの野球観に大きな刺激を受けたという 【撮影:スリーライト】

「日本プロ野球OBクラブ」に入会するにあたり、OBたちと話をしていたときだった。

「今、茨城ゴールデンゴールズというチームがあるんだけどね……」

 一人がふと、そのチーム名を口にした。

「そこ、僕も入ることができるんですか?」

 福井敬治が尋ねて数日後、チーム関係者から連絡が届いた。

「今、(監督の)萩本(欽一)が福岡ドームにいるから、会いに行ってみない?」

「野球ができるなら……」そのひたむきな思いだけを胸に、福井は福岡へ飛んだ。

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芸能界の大御所から感じた野球への情熱

 萩本欽一といえば、芸能界の大御所である。その萩本が福井の顔を見るなり、ニコニコしながらこう言った。

「福井君は何か持っているね。はい、入団決定!!」

 あっけにとられたが、断る理由もなかったし、考える時間もなかった。その場でコーチ兼選手として、入団が決まった。おいおい萩本と話をして、野球に対する造詣の深さと情熱、何よりいかに野球好きであるかを知り、驚いた。

 いざ試合が始まると、萩本監督は福井を「一番」に置いた。

「萩本さん、すみません。僕は足も速くないし、選球眼もそれ程良くない。一番を打つタイプではないんですが……」

「いや、福井君が一番でいいんだよ。福井君、元プロ野球選手でしょ。体が大きいからピッチャーはビビるでしょ。ストライクが入らないでしょ。だからフォアボールになるんだよ」
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著者プロフィール

前田恵

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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