連載:“近鉄OB同窓会”令和だから言えるアレコレ

令和も語り継がれる猛牛軍団の軌跡 近鉄バファローズを知る12のキーワード

ベースボール・タイムズ

【その7】権藤博

 伝説的な大投手であり、指導者としても数々の実績を残した名伯楽。中日での現役時代は、ルーキーイヤーの1961年に35勝を挙げ、最多勝、最優秀防御率などのタイトルを総ナメ。「権藤、権藤、雨、権藤」と言われた活躍ぶりを見せたが、その連投がたたって投手としては短命に終わった。引退後は中日、近鉄、ダイエー、横浜でコーチを歴任。近鉄には88、89年の2年間、投手コーチとして手腕を振るい、投手陣の建て直しに尽力した。選手からの信頼・尊敬を集める一方で、監督との対立も取り沙汰されることも多かったが、近鉄では就任前にリーグ最下位だったチーム防御率を2位に押し上げるなど確かな成果を残した。監督としては98年に横浜を日本一に導いた。

【その8】ラルフ・ブライアント

 豪快なフルスイングで「三振」か「ホームラン」というバッティングで記録、記憶ともに強烈なインパクトを残した伝説的助っ人。来日は1988年。最初は中日に入団したが、一軍出場がないまま6月に近鉄にトレード移籍し、出場74試合で34本塁打を放った。さらに翌89年は「奇跡の4打数連続弾」などの活躍を見せ、129試合出場でリーグ最多の49本塁打に121打点もマーク。リーグ優勝の原動力となった。95年まで日本でプレーし、近鉄在籍8年間で通算773試合に出場して打率2割6分1厘、259本塁打、641打点をマーク。シーズン204三振のNPB最多記録も持つ。

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【その9】栗橋茂

豪快な打撃、人柄ともに人気があった現役時代の栗橋 【写真は共同】

 1974年から89年まで近鉄でプレーした強打者。「和製ヘラクレス」と呼ばれた筋骨隆々の肉体を活かした長打力を武器に活躍。79年には自己最多の32本塁打を放ち、球団史上初のリーグ優勝に大きく貢献。翌80年も打率3割2分8厘、28本塁打、84打点の好成績でリーグ連覇を果たしたチームの主軸として活躍した。また、球界きっての酒豪、血気盛んな性格としても知られ、数々の破天荒な逸話が元チームメイトたちによって語られている。現在は藤井寺駅近くでスナックを経営。全国から元近鉄ファンが訪れる。

【その10】梨田昌孝

 1972年から88年まで近鉄でプレーした名捕手。強肩を武器に活躍し、バッティングでは「コンニャク打法」を開発。長らく主力としてチームを支えた。「10・19」のダブルヘッダー第1戦では決勝打を放ち、35歳で現役を引退した。その後、評論家生活を経て近鉄のコーチ・監督を歴任し、2001年のリーグ優勝時の監督、そして近鉄球団最後の監督となった。近鉄退団後は、北海道日本ハム、東北楽天でも監督を務めた。

【その11】近鉄の球団史

 1949年に「近鉄パールス」として結成。1958年オフに現役時代に「猛牛」と呼ばれた千葉茂を監督に招聘してチーム名を「近鉄バファロー」に改名。62年から「近鉄バファローズ」となった。西本幸雄監督時代の79年に初のリーグ優勝を飾り、翌80年には連覇を達成。その後、「いてまえ打線」と呼ばれた豪快な野球が定着し、89年、2001年とリーグ制覇を果たした。だが、日本シリーズでは79年に「江夏の21球」の広島の前に3勝4敗、80年も広島相手に3勝4敗。そして89年は3連勝の後に4連敗。さらに「代打逆転優勝サヨナラ満塁本塁打」でリーグ優勝を決めた2001年もヤクルト相手に1勝4敗で敗れ、ついに日本一にはなれず。2004年、球界再編騒動でオリックスと合併。「近鉄」としての55年の歴史に幕を下ろした。

【その12】藤井寺球場

住宅街にあった藤井寺球場。長らくナイターは開催できず、鳴り物による応援も禁止されていた 【写真は共同】

 1928年に完成。50年から近鉄が本拠地として使用。当初は照明設備がなく、84年4月に夜間照明を設置。85年に外野を人工芝に張り替えた。97年に大阪ドームが完成して本拠地を移転して以降は二軍戦(一軍最終戦は99年10月7日ロッテ戦)などが行われていたが、2004年の球界再編による球団消滅後、老朽化などを理由に閉鎖・解体された。跡地には現在、学校とマンションが建っている。両翼91メートル、中堅120メートル。閉鎖時の収容人数は3万2000人。

(文:三和直樹/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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