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青学大の箱根駅伝・復活優勝をOBが分析
甘えで前回V逸も…厳しい練習で一変
青山学院大が2大会ぶりの総合優勝。復活を遂げた要因を青山学院大OBの渡邉利典さんと林奎介が解説した
青山学院大が2大会ぶりの総合優勝。復活を遂げた要因を青山学院大OBの渡邉利典さんと林奎介が解説した【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 第96回東京箱根間往復大学駅伝競走の復路が3日、箱根・芦ノ湖から東京・読売新聞社前までの全5区間、109.6キロのコースで行われ、前日の往路を制した青山学院大が総合記録10時間45分23秒で2大会ぶり5度目の優勝を果たした。2位は東海大で10時間48分25秒、3位には国学院大が10時間54分20秒で入った。


 前々回大会まで4連覇するも、前回は東海大に王座を譲り2位。今季も出雲駅伝5位、全日本大学駅伝2位と甘んじた“青学”は、果たしてなぜ復活できたのか。同大OBで現在はGMOアスリーツに所属する渡邉利典さんと林奎介さんが要因を分析した。

練習を積む大事さが薄れていた

「往路で決めるべき選手が決めたことが大きい」勝因を分析した渡邉
「往路で決めるべき選手が決めたことが大きい」勝因を分析した渡邉【スポーツナビ】

――青山学院大が2年ぶりに総合優勝を果たしました。優勝した後輩たちの姿を見ていかがですか?


渡邉利典 しっかりしているなと思います。(大会記録を更新して)彼らが今までの青山学院大の中で一番速いチームですので、後輩ですが尊敬できます。今までの区間記録や常識など、先入観なく走れたことは、努力の賜物だと思います。大会全体を通しても、そのような先入観を持たずに走れた選手に勢いや熱量を感じたので、感動しました。


林奎介 昨年の僕らの代で優勝できず、(大会記録タイとなる)6連覇にならなかったと考えると、申し訳ない気持ちもあります。ただ、2年ぶりに優勝できたのは、厳しい環境の中でトレーニングできたからでもあるので、今後その伝統を引き継いでもらい、再び連覇を目指してほしいです。


――青山学院大の勝因は?


渡邉 勝因は、往路で決めるべき選手が決めたことが大きいと思います。エース級の選手を往路に並べられるのが青山学院大の強みですが、その選手たちがしっかり走りました。2区の岸本(大紀)選手が早い段階で先頭に立ちましたが、3区では東京国際大に先頭を譲っており、どんな展開になるか分かりませんでしたが、4区の吉田(祐也)選手が爆発力ある走りで差を広げたのが大きかったです。5区の山上りでも、飯田(貴之)選手が淡々と安定した走りで区間新のタイムを出しました。山はメンタルが大事で、後続と差がある状態を作れたことは、飯田選手にとって良い条件だったと思います。


 復路は、“2分”というタイム差が、追うチームに大きなダメージを与えたと思います。このタイム差が縮まらないことで、相手チームにはプレッシャーになりました。


――昨年のチームと今年とで大きく変わったのはどんな点でしょうか?


 昨年までの青山学院大というのは、優勝が続いたことで“甘え”が出ていました。これは原晋監督も、メディアで話されていました。


 特に昨年4年生だった僕らの代は、練習を積まなくても走れてしまう選手も多かったので、練習より試合で結果を出せば良いという意識がありました。それがチームに波紋のように広がり、練習を積む大事さが薄れていたところもあります。その結果、練習が積めていないので、走れる自信もない状態で箱根駅伝を迎えてしまい、初出場の選手らが、前を追うプレッシャーに崩れたことが敗因でした。どの選手が崩れてもおかしくない状態だったと思います。この失敗で、甘えを排除するために、今年のチームは良い意味で厳しさを持ったチームになりました。


――その厳しさというのは具体的にどんな点でしょうか?


 記録会や関東インカレなど試合があるたびに、4年生が中心となって、それぞれの課題をはっきり突き詰めて、練習に取り組ませていました。また、日々のトレーニングでも、例えば1000メートル×10本の練習で、いつもよりも5秒速いペースで走るなど、根本的にきつくなるメニューにこなしていたようです。それだけの違いでもトレーニングとしてはかなりきつくなり、それを乗り越えたことが自信になったと思います。

“ミスができない箱根駅伝”が常識に?

林は「この先が楽しみなチーム」として、総合5位に入った東京国際大を挙げた
林は「この先が楽しみなチーム」として、総合5位に入った東京国際大を挙げた【スポーツナビ】

――レース全体を見ての感想はいかがでしょうか?


渡邉 全体的なレベルもそうですが、戦略的な面でも、過去よりも洗練されてきたなと思います。昔は、誰かが失速し、ペースが落ちて順位が変わるドラマティックな展開が多かったと思います。でも、今年はどのチームもほぼ100パーセントに近い力を出していたと思います。それが当たり前の箱根駅伝になりました。来年以降、どのチームも対策してくると思いますが、レースではミスができないというのが常識になりそうです。きっ抗したレース展開では、一気に順位を上げることも、下げることもあると思います。


――印象に残ったチームはありますか?


 今年初めてシード権を獲得した東京国際大は予選会から強くて、本戦でも上位に来ると思っていました。往路で3位、総合5位という結果でしたが、予選会を勝ち上がったチームでも上位に食い込めることを示せたと思います。また、東京国際は創部9年目ということで、3区を走ったイエゴン・ヴィンセント・キベット選手の力がずば抜けていることを差し引いても、チームとして完成してきています。この先、本当に楽しみなチームです。


渡邉 青山学院大は原監督が就任してから10年目で総合優勝を成し遂げました。東京国際大も来年で10年目ですが、もしかしたら優勝を狙えるようなチームになるかもしれません。ただ時代が違うので、自分たちの時代よりも厳しいとは思います。


――最後に実業団選手として2020年の目標を教えてください。


渡邉 今年、チームとして初めてニューイヤー駅伝に出場しました(結果は5位)。そこでいい走りができたので、その流れに乗って、マラソンでは自己ベストを出せるようにシーズンを戦いたいです。そして来年のニューイヤー駅伝では、チームとして優勝が狙える位置にいけるよう頑張りたいです。


 昨年は個人的に何もできなかったので、まずは全種目で自己ベストを更新したいです。またフルマラソンにも挑戦するので、そこで2時間10分を切りたいと思います。最大の目標が4年後のパリ五輪で金メダル獲得なので、そこに向けていいステップを踏んでいきたいです。また、ニューイヤー駅伝では区間賞を取れるような走りができるよう、1年間、安定感を持った走りができればと思います。

構成:スポーツナビ

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

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