大迫勇也は降格圏のブレーメンを救えるか ボロボロに崩れても…「自分たち信じて」

中野吉之伴

ボールを失うことを恐れずに要求し続ける

大迫は低迷するチームを救えるか。ウインターブレーク明け、後半戦での巻き返しに期待したい 【Getty Images】

 勝てないことでどんどんリズムを崩していくチームを救うべく、第10節フライブルク戦から復帰を果たした大迫は悪い雰囲気に飲み込まれないように、この苦境から脱するために、自分ができることをしようとしている。確かに、頑張っても頑張っても勝てない。仲間を鼓舞し、体を張ったプレーをしてもそれが結果につながらない。築き上げてきたものがボロボロに崩れていく……。コーフェルト監督の顔にも焦りが見えてくる。それでも、大迫は前を向くことをやめない。

「もちろん、チームはいま苦しい状況にいると思いますけど、いい選手がそろっていますし、クオリティーがあるチームだと思うので。『僕らならできる』と信じているので、最後まで自分たちを信じて戦い続けたいと考えています」

 21日、今年最終戦となるケルンとの試合も0-1で落とし、その翌日にデュッセルドルフが勝利したことで、ついに順位は自動降格圏となる17位にまで落ち込んでしまった。

 だが、あきらめてどうなるというのか。嘆いてどうするというのか。残留争いという現実を受け入れ、自分たちの状況を徹底的に分析し、言い訳ができないくらいに練習に熱を入れて取り組んでいく。負けが込むと、どんな選手でもミスを怖がってしまう。ボールを持ちたがらなくなってしまう。大迫が相手に囲まれてつぶされると、ファンからため息が聞こえることがある。しかし、それは大迫がボールを失うことを恐れずに、ボールを要求し続けているからこそ、起きていることなのだ。現実から逃げようとする選手は批判の対象にもならない。

 我が身を投げうって、自分の力を最大限発揮して、チームの勝利のために、ファンの歓喜のために、そして自分たちの誇りのために、大迫は立ち上がり続ける。きっと、また拳をぎゅっと握って、仲間とファンとともに、喜びをかみしめられるときが来ると信じて……。

(取材協力:ブンデスリーガ)

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著者プロフィール

1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで経験を積みながら、2009年7月にドイツサッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU15チームで研修を積み、016/17シーズンからドイツU15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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