IDでもっと便利に新規取得

ログイン

俊輔、憲剛ではなく、ヒデと僚太!?
水沼貴史が選ぶJ史上最高の名手たち

田中達也はオルテガとすごく重なる

水沼氏が高校時代から注目していたという田中達也。ワンダーボーイとして愛され、エメルソンとの“エメタツ”コンビで浦和を支えた
水沼氏が高校時代から注目していたという田中達也。ワンダーボーイとして愛され、エメルソンとの“エメタツ”コンビで浦和を支えた【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

■水沼貴史が選ぶ歴代ドリブラー

田中達也(浦和、新潟)

前園真聖(横浜F、V川崎など)

乾貴士(横浜FM、C大阪)

齋藤学(横浜FM、川崎F)

 ドリブラーといって、リストを見る前に頭にパッと浮かんだのは、田中達也。次にゾノ(前園真聖)で、その次が乾貴士と齋藤学でした。


 達也は身体が小さいけど、帝京高時代からここまでドリブルという武器でやってきて、いまだに現役で頑張っている。


 僕の中では、達也って元アルゼンチン代表のアリエル・オルテガとすごく重なるんですよね。ひとくくりに「ドリブラー」と言っても、スラロームでスーッと抜いていく選手もいれば、シザースなどのテクニックを駆使してかわす選手もいる。カクン、カクンと角度を付けながら、緩急とキレで抜いていく選手もいる。僕はそれが究極だと思っているんだけど、その代表格が達也。


 ゾノもそういうタイプだと思います。それにゾノは、アトランタ五輪予選や本大会でのインパクトが強い。


 乾はその2人とは違って、「カクン、カクン」ではない。ファーストタッチからスピードに乗って、スラロームとは違うかもしれないけれど、スムーズに抜いていく。いろんな選手が「乾はうまい」って言うのは、ファーストタッチが良いんですよね。そこから一気にスピードに乗っていく。


 学も乾と似ていて、スピード系。一方、ちょっと面白いのは、ミキッチ。ガーッと行って、キュッと止まって、またガーッと行く。こういうタイプは日本人にはいなくて、ドリブラーというイメージとも少し違う。


 ナオ(石川直宏)はストップしたところからグッと出る力強さがある。今のJリーグなら柏好文でしょうね。彼も面白い。ただ、左サイドじゃなきゃ生きないタイプ。こうしてリストを眺めていると、ドリブラーにもいろんなタイプがいることが分かりますね。

「水を運ぶ人」として日本代表でも重用

鹿島の第一期黄金時代のキャプテン、本田泰人。“すっぽんマーク”で有名だったが、「実は相当うまい」と水沼氏は技術に関しても称賛
鹿島の第一期黄金時代のキャプテン、本田泰人。“すっぽんマーク”で有名だったが、「実は相当うまい」と水沼氏は技術に関しても称賛【Photo:権藤和也/アフロスポーツ】

■水沼貴史が選ぶ歴代ボールハンター

本田泰人(鹿島)

米本拓司(FC東京、名古屋)

稲本潤一(G大阪、川崎Fなど)

鈴木啓太(浦和)

 ボールハンターは本田泰人。ヨネ(米本拓司)。あと、イナ(稲本潤一)と鈴木啓太かな。


 本田はとにかくしつこくて、対戦する僕らにとって嫌なタイプ。サントスとボランチのコンビを組んでいたから、やりやすかった面があるかもしれないけど、ボールホルダーに寄せて、離れない。逆を取ったつもりでも、そこにも付いてくる。ちょっと間を置いていて、こっちがボールを止めた瞬間にグッと足を入れてくるとか。後ろを向いてボールを受けたとき、本田が相手だと、いろいろなことを考えなきゃならない。


 単純に向かってくる選手はかわせばいいんだけど、手を使ったり、足をグイグイ入れてくる選手は、すごくやりにくい。それに、本田はあまり上手じゃないと思っていたんだけど、代表のOB戦とかで何回か一緒にやってみたら、めちゃくちゃうまい。だけど、それをひけらかすようなことはせず、受けてさばくプレーに徹して、余計なことはしない。ボールハンターであり、周りを動かせるリーダーでもある。だてに黄金時代の鹿島のキャプテンじゃないですね。


 ヨネはガッと奪いに行って奪い取れる選手。しかも、連続してアプローチに行けるのが強みですね。ボールを取れなくてもポジションを取り直して、すぐに潰しにいけるのはすごい。2009年のナビスコカップ決勝のようにパンチ力のあるシュートを持っているし、名古屋に移籍して技術的にもうまくなっている。ケガを繰り返してしまったのが本当に残念。


 イナと啓太は似ているんだけど、イナは奪ってから出ていく推進力がある。予測がいいんでしょうね、イナは。だから、出ていくタイミングでボールが奪える。おそらく、前にスペースがあるから、ここで奪ったらチャンスになるだろう、というところまで考えてアプローチに行っていると思います。なんといってもアーセナルまで行って、チャンピオンズリーグ(CL)でデビューした選手だから。僕はハイバリーでその瞬間を見ていました。


 啓太もしっかり奪えるんだけど、すごく印象に残っているのが、(ハンス・)オフトが浦和レッズの監督をしていた頃のこと。オフトは「行くな」というタイプなんですよね。だから、啓太が奪って、行けるのに預けて戻ってくる。もっと自由に行かせてあげたいな、と思った覚えがあります。


 ただ、そのおかげかどうかは分からないけど、ボールハンターでもあり、バランサーとしての資質も高めていった。ガツガツ行くというより、前後左右を見てバランスを取れるボールハンター。(イビチャ・)オシムさんも「水を運ぶ人」として重宝していたけれど、周りを生かしながらやれる選手だと思っていました。


 その次が今ちゃん(今野泰幸)なんだけど、ガツガツ感はこの中で一番あるかもしれない。このあたりは甲乙つけがたいという感じですね。

飯尾篤史
飯尾篤史

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

スポナビDo

新着記事一覧