ZOZOチャンピオンシップ2019連載

アマでもできる攻め方で勝ったタイガー 優勝会見に見た圧倒的メンタル

北村収

習志野CCのコースに世界の強豪が苦戦

優勝トロフィーを掲げるタイガー・ウッズ 【Getty Images】

 タイガー・ウッズが19アンダーで優勝したZOZOチャンピオンシップ。日本の松山英樹が最後までウッズを追い上げたが、世界ランキング上位選手の多くがアコーディア・ゴルフ習志野カントリークラブのコースに苦戦し、スコアを伸ばすことができなかった。
 世界ランキング2位のロリー・マキロイは、最終的には13アンダーの3位タイに入ったものの、初日2オーバーの・47位タイと出遅れ。また、世界ランキング4位のジャスティン・トーマスは第4ラウンドで「65」を出し追い上げたが、7アンダーの17位タイで競技を終えた。ウッズや松山以外の世界の強豪選手が、序盤にコースを攻めあぐねていた理由は何なのか?

 開幕前、「ラフからすごくフライヤーするというのは、海外の選手は慣れない部分」と話していたのは2017年までPGAツアーを主戦場としていて海外のコースもよく知っている石川遼だ。本戦がはじまると、確かに縦の距離感が合わずグリーンを外す選手が目立っていた。
 
 また2グリーンというのも日本独特。コリン・モリカワは開幕前「小さいグリーンはタフなので、どうなるか想像しづらい」と話した。

飛ばすことよりも大切なこと

フェアウェイキープに徹したタイガー・ウッズ。当たり前のことをしっかりこなすことで結果に結びつけた 【Getty Images】

 現地で取材をしていた雑誌や新聞でお馴染みの小暮博則プロによると、「タイガーはフェードボールでフェアウエーをキープすることに徹していましたね。また、球が浮く高麗芝に慣れずアプローチで苦戦してスコアが伸びなかった選手も多かった」と解説。さらに、「平均パット数はタイガーが1位、松山が2位でした。優勝争いが期待されたロリー・マキロイが12位、ジャスティン・トーマスが38位だったので、パッティングが良かった2人が優勝争いをしましたね」と話してくれた。

 フェアウエーキープを最優先にコースマネジメント行い、パッティングをしっかり決めて優勝を飾ったウッズ。「4日目の最終18番ホール、タイガーはフェアウエー右サイドのバンカーに届かない攻め方をしていました。つまり、飛ばすよりもコースマネジメントに徹していました」と小暮プロは振り返る。一方で、この当たり前のようなコースマネジメントが、アマチュアではできていない人が多いという。これに対し小暮プロは「ピンの位置から逆算して、攻めやすいところにティーショットを置いていくことが大事です」と簡単に実践可能な対処法を教えてくれた。

タイガー・ウッズのアイアンショット 【Getty Images】

 小暮プロによると、もう一つウッズのショットで印象に残ったものがあるという。パンチショットだ。「飛ばすことが全盛のPGAツアーですが、タイガーはバーディーをとるためにパンチショットを多用していた」という。ピンを狙ったショットの多くは、インパクトからフォローにかけて左足首をグリップし、フォローで止めるパンチショットから生まれていたという。アマチュアでも真似できる打ち方なので、是非試してみてほしい。

何よりすごいのは切れないメンタル

 優勝を遂げたウッズだが、出だしは最悪だった。初日のスタートホールとなった10番ホールのティーショットを池に入れボギー。11番、12番もボギーとして3連続ボギースタートとなった。左ヒザの手術後初めての大会ということもあり、ファンの中には心配をした方も少なくないと思う。ところがそこからバーディーを量産。初日を首位タイで終えた。

 さまざまな苦難を乗り越えて、見事なプレーを見せてきてくれたウッズ。そのメンタルはどのようになっているのか? 最後に優勝会見で彼が話した内容を紹介しておく。ウッズの真似はとてもできないが、池ぽちゃや、短いパットを外したくらいでは気持ちが切れないようにしたいものだ。

「そこ(悪い状態)から抜け出して、自分で道を切り開くことに対する満足感がある。抜け出すのが大変な時があるが、長年その方法を見つけてきた。ただ、今回は特に難しかった。2カ月前に手術をし、また復活し優勝することは簡単なことではなかったが、自分の両手を信じているし今日もそこに変わりはなかった」
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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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