スプリンターとマイラーの対決!スワンS 過去10年データでは安田記念組が優勢

JRA-VANデータラボ

前走クラス・レース別成績(レース別は連対馬を出したレースのみ)

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 前走は中央G1に出走していた馬が、勝率〜複勝率で一歩リード。特に、安田記念以来の休養明けだった馬は複勝率53.8%の好成績だ。同じG1でも、スプリンターズSを使ってきた馬は複勝率19.2%で、連対馬を出している重賞の中ではもっとも低い。ただ、非常に多くのレースから連対馬が出ており、「前走レース別の好走馬数」としてみると、スプリンターズSは安田記念に次ぐ2位。率が低いからといって、まったく無視してしまうのも危険だろう。

前走安田記念組の成績

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は、前走で安田記念に出走していた馬の成績を、本競走3着以内馬と4着以下に分けてまとめたものである。安田記念の着順を見ると、ひと桁着順だった6頭中5頭がここで馬券圏内に入っているのに対し、安田記念2桁着順大敗から3着以内まで巻き返した馬は2頭だけだった。

 もうひとつ注目したいのは、2走前の成績だ。本競走4着以下に敗れた6頭はすべて、2走前も4着以下。対して3着以内に好走した7頭のうち、2013年のサダムパテックを除く6頭は、2走前にも重賞で3着以内に入っていた。安田記念組なら、同レース9着以内、そして2走前の重賞3着以内の双方を満たす馬がいれば、特に注目したい。

前走スプリンターズSからの好走馬

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 続いて表6は、スプリンターズS組の好走馬5頭である。表3にあったように、過去10年では3歳から6歳まで好走馬が分散していたが、前走スプリンターズS出走馬で好走しているのは5、6歳馬のみである。また、1400m以上の重賞で連対するか、1600mのG1で3着(キンシャサノキセキ)の実績があったことでも共通する。一昨年3番人気に推された同年の高松宮記念優勝馬・セイウンコウセイは、4歳馬かつ1400m以上の重賞未経験で14着に大敗。また、2014年にやはり3番人気になったベルカントは、1400mでフィリーズレビュー勝ちなどの実績こそあったが、3歳で7着に敗退している。

前走その他のレースからの好走馬(過去5年)

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 最後に、安田記念・スプリンターズS以外からの好走馬も見ておこう。過去10年でははっきりした傾向が掴めなかったが、過去5年にかぎると、この組の好走馬は前走4着以内、または前走重賞1番人気馬にかぎられる。前走で2番人気以下かつ5着以下だったような馬では、安田記念組やスプリンターズS組には対抗できない、というのが近年の傾向だ。

 以上、スワンSの傾向をまとめてみた。表4にあったように、前走安田記念組とスプリンターズS組の比較では、圧倒的に安田記念組が優勢だ。スプリンターズS組は「G1だから」といって過信は禁物。別路線組としっかり比較した上で取捨を決めたい。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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