ZOZOチャンピオンシップ2019連載

宮里藍に聞いた「スキンズゲーム」の魅力 普段の試合にない、選手同士の会話に注目

北村収

ZOZOチャンピオンシップ開幕3日前の21日に行われるスペシャルマッチ「ザ・チャレンジ:ジャパンスキンズ」。ラウンド解説を務める宮里藍が、スキンズゲームの魅力を語った 【赤坂直人/スポーツナビ】

 日本初開催のPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」(10月24〜27日)と同様に注目を集めているのが、開幕3日前の21日(月)に開催されるスペシャルマッチ「ザ・チャレンジ:ジャパンスキンズ」だ。各ホールにつき1人だけがそのホールの賞金を獲得。また、複数の選手がタイとなった場合は、そのホールの賞金(スキン)が次のホールに持ち越されるゲーム。それがスキンズゲームだ。

 メンバーはタイガー・ウッズ、ロリー・マキロイ、ジェイソン・デイ、そして松山英樹と豪華。なお、マキロイ、デイ、松山にとって、初のテレビ・エキビジョンで大きな話題になっている。

 このスペシャルマッチは、「GOLFTV」で世界中にライブ配信される。今回、ラウンド解説を務めることになった宮里藍氏にインタビューをし、世界のゴルフファンが注目するこのイベントの見どころについて聞いた。

和気あいあいとした雰囲気の中にある緊張感

――通常のトーナメントと異なる、スキンズゲームならではの面白さはありますか?

 見どころというか、楽しみなポイントはたくさんあると思っています。私も現役時代、何度かスキンズゲームに出場しましたが、18ホールしかないプレッシャーもありますし(通常の4日間トーナメントだと72ホール)、海外の選手は勝負にこだわる選手が多いので、絶対勝ちたいというのが如実に18ホールの中で出るんです。仲が良いからこそ、それが面白いです。選手同士の和気あいあいとした中にある緊張感というか、そのバランスは普通のトーナメントでは見ることができないものだと思います。

――スキンズゲームでのご自身の経験で、印象に残っていることはありますか?

 結構、相手のプレーを見ますね。どれくらいチャンスにつけているのか、逆にどれくらいミスをしているのかによって、自分のそのホールでのマネジメントを変えていかないといけないので。ただ単に、自分がバーディを重ねていくというよりは、取れなかったホールで(賞金が)キャリーオーバーされる(次のホールに持ち越される)ところもあるので、キャリーオーバーされればされるほど、プレッシャーがかかってくる。そこでどういったプレーが出るのかは、一つ面白みが出るところだと思います。

――ギャラリーから見て、スキンズゲームの魅力はどこですか?

 今回のようなトップクラスの選手のプレーを間近で見られることは、ほとんどないと思いますので、実際その場に行って1ホール1ホール、もっと言うと、1打1打見ているだけでもすごく楽しいと思います。340ヤード飛んだとか、平均飛距離がどれくらいとか、テレビ中継では見ていると思いますが、ギャラリーの方はそれを現地で体感できますし、個人的にも現地で見られることをすごく楽しみにしています。340ヤード飛ぶ選手がティーショットでどこのラインを狙っていくのかをチェックするなど、ギャラリーの方々はすごく面白いんじゃないかなと思います。

賞金がキャリーオーバーされていった際、各選手の戦略がどう変わるか見ていくのが面白いと話す 【赤坂直人/スポーツナビ】

――スキンズゲームの勝敗を分けるポイントはどんなところでしょうか?

 シンプルにバーディーを取っていかないと、スキン(各ホールの賞金)は取れないと思います。パーでスキンを取ることは基本ないと思いますので、バーディーチャンスをどこで作っていくかが大事ですね。1番ホールからいきなりバーディーが出るのか、または3ホールキャリーオーバーして、4ホール目になって急にアグレッシブになるのか、または逆に守りながらいくのか。その様子を見てもらえたら面白いと思います。

――そのような駆け引きが見どころなのですね。

 見ている方にとって分かりづらいところかもしれないですけど、言葉の小競り合いは絶対あると思うので、それもすごく面白いんじゃないかなと思います。

米ツアー選手の魅力は?

日本の狭いコースをどう攻略するか、攻め方の引き出しの多さにも注目だ。写真のようなウッズの林の中からのショットも見られるか!? 【Getty Images】

――本戦の「ZOZOチャンピオンシップ」では、海外選手のどんなプレーを見てもらいたいですか?

 飛距離が一番伝わりやすい部分だと思いますし、見ている人が「わぁ、すごい!」となると思います。PGAツアーの選手は、ヘッドスピードがやはりアマチュアとは違うので、そこに圧倒される部分がありますね。ただ、グリーン周りのショートゲームのうまさとか、フェード、ドロー、高い、低いなどボールを操る技術力、日本の狭いコースにも対応する技術力がずば抜けているところも見てほしいですね。タイガーが林から打っているショットはよく注目されますが、そういうショットもこの大会中、必ず見られるシーンだと思います。そういったトラブルショットで、プロの技術の高さを見てもらいたと思います。

――特にこれからプロを目指すアスリートにぜひ見てほしい部分はありますか?

 あります! こういった機会は本当に数少ないので、実際にその場に行って、選手がどう動いているのかを見るだけでも、学べることが多いと思います。すごく影響力がある人たちなので、できるだけジュニアの選手には会場に足を運んでもらいたいと、個人的には思います。

――選手の動きとは、どんな動きを見てもらいたいのですか?

 例えば、パットに入るまでのルーティーンであったりとか、ミスショットした後の歩き方だったり、とかです。自分だったらどうするか、と比較して見ると良いと思います。今回の選手たちは達観しているので、そこにすごさを感じるんではないかと思います。

――自分と比較して見て欲しいのですね。

 そうですね。プロを目指している選手だったら、こういう状況の時はこういった姿勢を取るんだとか、キャディーさんとどう情報共有するんだとか、細かいところを見る選手も多いと思います。このタイミングで水を飲むんだとか、ここで何を食べるんだとか、いろんなことを見てもらいたいですね。単に選手たちのプレーを見て、「本当にすごい」と思うだけでも、全然違うと思います。

――水を飲む動作も、ルーティーンなんですか? またはミスした後に飲んだりするのでしょうか?

 特に男子プロは、水を飲む動作を意識的にしている選手はほとんどいないと思います。ただ、彼らの中では、ミスをした後のメンタルコントロールを絶対やっていると思うので、それが直接的には表に出なくても、その姿勢一つであったりとか、さまざまな状況でどのような動きを取るかを見ることで、学ぶことはいっぱいあると思います。

――宮里プロからみて米男子ツアーの魅力は何ですか?

 層が本当に厚いなと思っています。タイガーみたいに20年以上ツアーにいる人が優勝争いに絡んでくるとか。周りの期待をプレーに反映させることができる選手が多いと思うので、そこが面白いところですね。来て欲しいなと思った選手が上位に来ると、やっぱり見ている方も感情移入しやすいです。今回の「ZOZOチャンピオンシップ」も、どの選手を見ても、すごくレベルが高い選手なので、とても面白いと思います。
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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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