B1東地区は激戦区がウルトラ激戦区に チームに変化をもたらす期待の選手たち
世界を見据えたリーグ戦という日常
リーグ戦という日常が戻ってくる。日本バスケにとっても重要な場だ 【(C)B.LEAGUE】
男子日本代表は9月に中国でワールドカップを戦い、5戦全敗で終えた。日本バスケにとってはまず「アジア予選突破」「世界経験」が大きな収穫だ。一方でコンタクトプレー、スキルなどの課題は正視するべきで、その解消にはリーグ戦という日常から取り組まねばならない。
開幕まで300日を切った東京五輪に向けて、2019-20シーズンは勝負の1年になる。五輪やその後に向けた新顔の台頭にも期待したい。
東地区は昨季のチャンピオンシップ(CS)で4強に入ったチームのうち、3つが所属するB1の激戦区だ。昨季は下位に沈んだ秋田ノーザンハピネッツ、レバンガ北海道が精力的な補強で底上げをしており、「激戦度」はより高まっている。
今季の陣容を見て気になるのは「3人目の外国籍選手」の起用方法だ。東地区の6チームは全て3人の外国籍選手と契約しているが、今季は昨季に続いて試合あたりのベンチ登録が2名。今季は保険的な契約が減り、序列を感じない3人がそろうケースが一般的になった。土日で別の選手を起用する使い分けが増えるだろう。
千葉の注目新加入は晴山とフリッピン
京都から千葉へ加入した晴山(7番)は、どこまでフィットするか 【(C)B.LEAGUE】
しかしCSは2季連続で準優勝にとどまり、今季はその悔しさを晴らしたい。
石井講祐(サンロッカーズ渋谷)、アキ・チェンバース(横浜ビー・コルセアーズ)の移籍はあったが、戦力的に落ちた印象はない。チームを躍進に導いた大野篤史ヘッドコーチ(HC)も当然ながら留任している。
注目の新加入は晴山ケビン、コー・フリッピンの2人。晴山はシュートが打てて機動力が高く、リバウンドなどオールラウンドな役割を果たせる。
フリッピンは米国育ちの日本人選手で、大卒ルーキーで23歳。190センチ・75キロと細身だが、身軽なドリブルでゴール下に切れ込み、重力を感じさせない高い飛翔を見せる。彼の持つリズム、スムーズなステップは今までの日本バスケになかったものだ。
インサイドはギャビン・エドワーズ、ジョシュ・ダンカン、マイケル・パーカーが残留。加えて大卒ルーキーの米国人パワーフォワード(PF)ニック・メイヨが加わった。メイヨはNBAドラフトの指名こそ受けられなかったが、走力やスキルが高くシューターを生かす賢さも感じるビッグマンだ。
継続感が強い宇都宮と王者・A東京
須田は琉球からA東京へ加入。攻撃の幅を増やす活躍が期待される 【(C)B.LEAGUE】
ただし、9月16日に発表されたシャブリック・ランドルフとの契約はサプライズだった。NBAで通算146試合のキャリアを持つ35歳、近年は中国のCBAでプレーしていた208センチ・107キロのPFでロシター、ギブスの鉄板コンビに割って入り得る存在だ。
若手は25歳の鵤誠司にもう一皮向けてほしい。185センチ・95キロと「ラグビー体型」だが、PGも務まるスキルの持ち主だ。
昨季のアルバルク東京は44勝16敗の東地区3位でレギュラーシーズンを終えた。ワイルドカードで進んだCSは新潟アルビレックスBB、琉球ゴールデンキングスを退けてファイナルに進み、千葉ジェッツを下して2連覇を達成した。今季はルカ・パヴィチェヴィッチHCが3季目に入り、日本代表の竹内譲次、田中大貴、安藤誓哉も健在だ。
しかし日本代表の馬場雄大がNBAのダラス・マーベリックスと契約し、今季は米国でプレーする。また齋藤拓実、シェーファー・アヴィ幸樹が期限付き移籍で滋賀レイクスターズに移った。それぞれの成長を考えればプラスだが、チームへの短期的な影響は間違いなくマイナスだ。
一方で須田侑太郎の移籍加入はプラス。安藤、田中がハンドラーとしてピック&ロールを仕掛けるスタイルの中で「幅を取る」「キックアウトから3Pシュートを決められる」タイプの補強は急務だった。須田は3Pシュートが巧みで、守備にも定評がある。
外国籍のインサイドプレイヤーは今季もアレックス・カークが軸。大型で機動力があり、攻守に体を張れる選手だ。ジェフ・エアーズはNBAで優勝経験を持ち、一昨年以来の復帰となる。ミラン・マチュワンは初来日で、206センチ・110キロのビッグマンながらスキル、状況判断に優れたタイプ。W杯本大会ではプレーしなかったが、セルビア代表経験を持つ大物だ。
9月29日に決勝戦が行われたFIBAアジアチャンピオンズカップも制しており、昨季に引き続いて期待できそうだ。