IDでもっと便利に新規取得

ログイン

日本のエースとして――石川祐希の覚悟
「W杯では、メダルを獲りにいきます」

「負ければ石川のせいだ」と言われることも当たり前

石川はエースという立場を「パフォーマンスを高く、かつ安定してそれを出し続けなければいけない」と認識している
石川はエースという立場を「パフォーマンスを高く、かつ安定してそれを出し続けなければいけない」と認識している【坂本清】

――ご自身のパフォーマンスに加え、今季は中垣内祐一監督からリーダーシップを取ってほしい、という要求もありました。石川選手自身、どんなことを心掛けていましたか?


 ネーションズリーグの前半や、チームが発足したばかりの頃は、あえて雰囲気を気にしないで、まず自分のこと、自分の役割、自分のプレーに集中することを意識していました。相手にリードされたり、悪い状況になると、どうしてもみんなが「ここでミスをしてはいけない」と硬くなって、空気も悪くなりがちなので、今まではそういう状況になったら「もっと雰囲気をよくしなきゃダメだ」と思っていたんです。


 バレーは個人競技ではなくチームスポーツで、みんなで戦っているわけだから、もしも誰かがダメだったらその分自分が頑張らないと、と思うのは当然ですよね。もちろんそれは必要で大事なことではありますが、もっと上のステージで勝つチームになるためには、まず周りを引き上げる前に、それぞれが自分のパフォーマンスをベストにしないと勝てない。自分のプレーに集中する前に仲間を助けなきゃ、と思ってそこに力を割いてしまうと、本来持っている力も絶対的に減ってしまうと思うし、世界で勝つためには、より個々が確立した強い集団にならなければ無理だと思います。まずは自分のレベルを上げよう、と思ってあえて自分に集中していました。


――個が確立して、なおかつチームで機能する。それが強いチームの条件だと?


 そうですね。どれだけ個の力があってもチームとして機能しなければ勝てないというのは、昨シーズン、シエナでの経験を通して学んだことでもあります。チームとして1つになるためには、みんなが悪い時に頑張るのがエースで、お前が頑張れ、と言われる立場ではありますし、それも必要なことであるのは間違いない。自分の力を発揮して、なおかつ悪い時にチームを引き上げられるのがベストだと思いますが、自分にはまだその力がない。もっと強くなるためにも、まずは個々が確立して、どんな場面、どんな状況でも自分のプレーをできるようにしたいと思っています。


 もちろんお互いが助け合って勝つ試合もありますが、世界でも本当にトップと言えるような強豪チーム、世界で勝つチームはそれが当たり前の感覚だと思うので、個々の能力を高め、個々が自立、確立したうえでチームとして機能することが大事だと感じています。僕自身、仲間を助けても自分のパフォーマンスが常に発揮できる選手になりたいし、そうなれるように今トレーニングにも力を入れています。試合の中で、自分のパフォーマンスもよく、なおかつチームを助けられる。そんな姿を見せられて、結果もついてくれば、アスリートとしての価値も上がると思いますし、もっともっと上を目指してプレーしたいので、見ている方々にもその姿をしっかり見せられる機会にしたいです。


――今季のスタート時から石川選手は「危機感」と言い続けてきました。今もその危機感は抱いていますか?


 あります。チームとしてよくはなっていると思いますが、まだまだこのままじゃ勝てない、という危機感は持っていますし、それが消えることはありません。実際まだ、強豪国を倒していませんから。自分は「今年は必ず結果を出す」と言ってきましたし、それが「やってやる」というモチベーションにもなっています。


 W杯で強豪国に勝てるかどうかはやってみなければ分かりませんが、勝つために取り組んでいますし、勝つ確率はどんなチームにも50%はある。そこからの勝負だと思うので、その確率を50%からいかに高められるか。ポジティブに、プラスに考えて臨むのみだと思います。


――もっとできる、という姿を見せたいと以前もおっしゃっていました。注目を浴びる分、背負う責任や覚悟も増えます。


 もちろんです。今年の代表が始まった時からずっと意識して来たことですし、実際ネーションズリーグでも自分のパフォーマンス次第でチームの結果も変わっていたと感じる試合もありました。


 やはりエースという立場である以上、自分がもっと頑張らないといけないのは当然ですし、パフォーマンスを高く、なおかつ安定してそれを出し続けないと勝てない。それだけのものを背負う覚悟、負ければ石川のせいだ、と言われるのも当たり前だと感じているので、それを背負って戦いたい。W杯では、メダルを獲りにいきます。

田中夕子

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

おすすめ記事(スポーツナビDo)

記事一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント