土江コーチが語る、4継の手ごたえ 世界陸上で「財産が残るようなレースを」

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世界陸上に臨む男子4×100メートルリレーチーム。今大会で目指すところについて、土江コーチに話を聞いた 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 陸上の第17回世界選手権(カタール・ドーハ)が、27日に開幕する。大会8日目の現地時間10月4日には、男子4×100メートルリレーの予選が行われる。日本チームは2016年のリオデジャネイロ五輪で銀、17年の世界選手権ロンドン大会で銅と、世界の大舞台で結果を残し続けている。来年の東京五輪で金メダルを目指すために、今大会でも表彰台の真ん中を狙いたいところだ。

 7日に山梨県で行われたリレー代表合宿の公開練習では、日本陸連の土江寛裕五輪強化コーチがチームの方針について語った。1走・小池祐貴(住友電工)、2走・白石黄良々(セレスポ)、3走・桐生祥秀(日本生命)、そしてアンカーには100メートル9秒97の日本記録保持者であるサニブラウン・ハキームの起用が有力となっている。サニブラウン、桐生、小池と100メートル9秒台の自己ベストを持つ選手が3人そろい、日本記録(37秒60)の更新にも期待がかかる。

 7月のダイヤモンドリーグは多田修平(住友電工)、小池、桐生、白石というメンバーで挑み、日本歴代3番目の37秒78で2位。また、5月のゴールデングランプリは多田、山縣亮太(セイコー)、小池、桐生のオーダーで優勝を果たすなど、異なる人選・走順でもトップレベルで戦えることを証明している。層の厚くなった日本チームが今大会で目指すことについて、土江コーチに聞いた。(取材日:9月7日)

「バトンパスが注目されがちですが……」

桐生の練習を見守る土江コーチ(左)。桐生が大学生のころから指導を続けている 【写真は共同】

――世界陸上が目前に迫っていますが、今季の4×100メートルリレーのチームについて、どんな手ごたえを感じていますか?

 やはりバトンパスという部分が注目されがちですが、4人で100メートルずつを走るわけで、そこのパフォーマンスが高くならないと勝てないと思います。これまでのバトンの精度で計算すると、9秒97が4人そろうと金メダルの可能性が相当高くなるという状況で、今はそれに近づいていると思います。

――今季は5月のゴールデングランプリ、7月のダイヤモンドリーグをそれぞれ異なるメンバーで戦い、結果を出しています。チーム全体の走力も非常に高まっている印象があります。

 そうですね。どの選手が入っても相当高いレベルでリレーができるというのは、そういうところが大きいですよね。個人のレベルアップというのが大前提として大事なんですが、それに加えて、どのメンバーでもどう組んでもクオリティーの高いバトンパスがポンとできる。そこはわれわれの大きな武器かなと思いますね。

――そのクオリティーの高いバトンについて、どういったところから積みあがっていると感じていますか?

 選手たちがどうやったらバトンの精度が高まるのかを考え、トータルのタイムが上がるバトンパスというのをちゃんと理解できているからです。

――先ほど話されていたオーダーは「パターンA」とおっしゃっていました。話せる範囲で、いま土江コーチの中ではどれくらいのパターンをシミュレーションされているのでしょうか?

 少なくとも2パターンは持っています。今回は、個人で出る種目があればあるほど疲労だったり、最悪なパターンは故障であったり、そういうリスクは当然高まってきます。個人のレベルが上がるということは、そうした問題も起きるということでもあるので、パターンとしてはいくつか持っておく必要があるのかなと思います。そういった点を踏まえて、他の選手たちにストレスがかからないような組み合わせ方を考えて、準備しておく必要があります。

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