ラグビー日本代表に勢いを与えた2人のFW データで振り返るW杯・ロシア戦
ラピースが見せた2つのビッグプレー
「ラピース」ことラブスカフニの独走トライは日本代表に勇気を与えた 【Photo by Yuka SHIGA】
ラピースは豊富な運動量とタックル、ジャッカル(タックルで倒れた相手からボールを奪う)で、スーパーラグビーで56試合(うちサンウルブズ7試合)に出場経験のある、結果を残してきたフランカーだ。2013年11月には南アフリカ代表の欧州遠征メンバーに選出されたが、試合出場は叶わなかった。そして、クボタスピアーズでプレーするために来日し、2年前にジェイミー・ジョセフHCから「日本代表になれる可能性がある」と聞かされ、今年6月に日本代表資格を得た。
日本代表として試合に出る前にリーダーのひとりに任命され、今春、特別編成チーム「ウルフパック」ではキャプテンを務めるほど、ジョセフHCの信頼の厚い選手のひとりで、合宿ではLOムーアと一緒にローマ字で「君が代」を練習し、今では大声で歌う。
そんなラピースは、この試合2つのビッグプレーを見せた。1つ目は、もちろん5点リードで迎えた後半7分のこと。ラピースは前に出て、相手のボールを強奪し、そのまま55メートルを走り切ってトライを挙げた。「トライができて、とてもうれしいです! ボールを取った後、ゴールラインが見えた。最後まで走り切れました」(ラピース)
もう1つは、後半16分、相手FWに自陣ゴール前に押し込まれた時にジャッカルを決めて、相手のペナルティを誘ったプレーだ。この2つのラピースのプレーがなければ、日本代表はもっと苦戦し、ボーナスポイントを得ることもできなかったかもしれない。
数字が物語るラピースの仕事量
ラブスカフニ(中央下)はタックルや密集戦など目立ちにくいところでも貢献していた 【Photo by Yuka SHIGA】
ラピースはトライ、ジャッカルと派手なプレーだけでなく、見えないところでも80分間、働き続けていたことがわかる。しかも、TMOの末にトライは認められなかったが、前半25分に松島へラストパスを通したのもラピースだった。
試合前日、ジョセフHCからニュージーランドのマオリ族に伝わる、強さ、勇気の象徴である斧の形を模した「グリーンストーン」と、全員の名前が入ったジャージが渡されたという。「特別な夜だったし、特別なものをもらいました。『ワンチーム』の象徴だし、このチームでプレーできて感謝しています」(ラピース)
開幕戦で勝ち点5を獲得したラグビー日本代表は、9月28日、予選プールの2試合目で、現在、世界ランキング1位のアイルランド代表と対戦する。大きな壁だが、壁が高ければ高いほど姫野、ラピースの2人は闘志を燃やすはずだ。2人がロシア代表戦を超えるようなパフォーマンスを見せれば、きっと勝機を見いだせるはずだ。