ラグビー日本代表に勢いを与えた2人のFW データで振り返るW杯・ロシア戦

斉藤健仁

ロシア戦で活躍した姫野、ラブスカフニ

松島幸太朗(14番)のトライを祝福する姫野和樹 【Photo by Yuka SHIGA】

 日本、いやアジア初のラグビーワールドカップが開幕した。9月20日、日本代表(世界ランキング10位)は、東京スタジアムにロシア代表(同20位)を迎えた。

 緊張やプレッシャーもあり動きの硬い日本代表は、相手のキック戦略に後手を踏んだものの、WTB松島幸太朗がハットトリックを達成する活躍もあり、4トライを挙げて30対10で勝利し、ボーナスポイントを含む勝ち点5を挙げる好発進を見せた。

 もちろん、MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いたWTB松島の決定力もさることながら、2人のFWの躍動もチームに勢いをもたらした。それはアマナキ・レレィ・マフィの負傷でNo.8に入った姫野和樹と、「ラピース」ことFLピーター・ラブスカフニの2人だ。リーダーグループにも入っている2人の活躍をデータ(STATS、共同通信デジタル提供)とともに振り返ってみたい。

両チーム最多のボールキャリー16回

ボールを持って走った回数が両チーム最多だった姫野 【Photo by Yuka SHIGA】

 まず、「自分の持ち味を出せたかな」という姫野から見ていこう。なお姫野は、この試合のチーム内MVPである「ソード(刀)賞」を受賞している。

 本人が「雰囲気がすごかった。言葉で言うのは難しいが、経験がない中で、その雰囲気にのまれてしまった」と言うように、開始早々のキックオフでノックオンをしてしまった。しかし、その後は、13/14の92.9%と安定していたラインアウトからBKラインに入ってボールキャリー、ゲインを繰り返した。

 姫野の16回のボールキャリーは両チーム合わせて最多の回数であり、ボールキャリーで進んだ距離も144メートルで最長と特筆すべき数字で、マフィ不在の穴を完全に埋めていた。しかも3トライを挙げた松島よりもボールキャリーで進んだ距離は1メートル長かった。それだけチームにモメンタム(勢い)を与えていたことがわかる。

「ソード賞」をもらい、トレードマークである大きな笑顔を見せた姫野は「1試合やって緊張もほぐれたと思うので、次の試合からはもっと持ち味を出せるように頑張りたい! スクラムも、疲れてきた時にやや押されたが、悲観的になることなく、自分たちの武器になるのでどんどん精度を上げていきたい」と語気を強めた。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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