連載:W杯から東京2020へ――平成バレー界のエースが語る

大山加奈が語る、バレーW杯の価値と意味「東京五輪へ…必死な想いを感じて」

田中夕子
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中田久美監督(後列右端)率いる全日本女子。五輪前最後の国際大会は結果と内容が求められる 【写真は共同】

 日本を含めた12カ国が出場するワールドカップ(W杯)。世界の強豪が集まるバレーボールの祭典で、東京五輪を見据えた日本代表はどんな戦いを見せるのか。2017年の中田久美監督就任以後、どんなバレーボールを展開し、現在の戦力図はどうなっているのか。来るべき2020年に向けた期待も込め、大山加奈さんにW杯の見どころを語ってもらった。

バレーW杯のさらなる価値向上を

東京2020に向けた熾烈な生存競争はすでに始まっている。「選手たちの必死な想いをW杯でのプレーから感じてほしい」と大山加奈さんは話す 【撮影:熊谷仁男】

――現役を離れ、今の大山さんの立場で改めて見ると、バレーボール界においてW杯はどんな大会だと思いますか?

 世の中の人はW杯も「世界バレー」と言うんですよ。それが残念だし、悲しい。バレーボールは国際大会が多いので、見ている方からすると世界選手権もW杯も同じように見えるかもしれないし、今年はバスケットボールやラグビーのW杯もあるので、バレーボールのW杯の価値が低くなってしまっているように感じられて、そこはすごくもったいないと思うし、悔しいです。いつまでも、W杯はバレーボールプレーヤーにとって憧れの場所であってほしいと思っています。

――確かにバレーボールは国際大会が多く、テレビ中継の機会も多いことから違いがわかりづらいのかもしれません。改めて、W杯の価値、意味を伝えるとしたら?

 一番大きな大会はオリンピックです。そこに向けて年々自分たちにとっては大きな大会が近づいてくる。オリンピックの2年前に行われる世界選手権は歴史が古く、出場国も多いのでこれもとても大きな意味合いを持つ大会ではありますが、W杯はオリンピックの出場権が懸かる大会なので、本来は大きなステータスがある大会です。

 上位2位に入るとそこでオリンピックの出場権が獲得できるので、予選が熾烈な欧州勢は何としてもW杯でオリンピックの出場権を手に入れたい。本当に必死で、最後の最後までどうなるかわからない。熱のある大会なのですが、今年はオリンピック開催国の日本で開催される大会なので、オリンピック出場権が絡まない。日本は100パーセントのチームで臨みますが、海外勢は主力がどれだけ来るのか、来ないのか、直前にならないとわからない。非常に難しい位置づけではありますが、やはりイメージとしては、W杯の上位チームがオリンピックの上位に入る。それだけの意味を持つ大会がW杯だと思います。
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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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