日本代表、南アに“歴史的連勝”なるか ラグビーW杯前、最後のテストマッチ

斉藤健仁

リベンジに燃える南アフリカは最強メンバー

2015年ワールドカップで日本代表が南アフリカ代表を破ってから4年。今回はどのような結果となるだろうか 【写真:アフロ】

 ラグビーワールドカップ(W杯/9月20日開幕)メンバー31名が発表された日本代表(世界ランキング10位)。その開幕前の最後となる壮行試合が6日、埼玉・熊谷ラグビー場で行われる南アフリカ代表(同5位)戦である。

 W杯のプールAで、日本代表はアイルランド代表、スコットランド代表といったセットプレーに強みのあるチームと対戦するため、日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)の要望もあり、W杯前にセットプレーの強いチームとの対戦となったという。

「スプリングボクス」こと南アフリカ代表と言えば、前回大会で日本代表が34対32で歴史的勝利を挙げた相手だ。だが、今回の南アフリカ代表は南半球の4カ国対抗戦「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」で初優勝。世界1位のニュージーランド代表と16対16と引き分けた試合と、日本戦のメンバーで23人中22人が同じという最強の布陣で臨んできた。

 そんなリベンジに燃える世界最強クラスのフィジカル強国に、日本代表はどう挑めばいいのか。データ(STATS調べ、共同通信デジタル提供)から見ていきたい。

データで見る日本代表の戦い方

フィジー代表戦ではリーチ マイケル主将を中心に、ボールポゼッションを重視して戦った 【写真:アフロ】

 6月から7月、宮崎で33日間にも及ぶ“地獄の合宿”で鍛えてきた日本代表は、7月から8月にかけてのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)でフィジー代表、トンガ代表、アメリカ代表に3連勝し、8年ぶりの優勝を成し遂げた。

 主将のFLリーチ マイケルは現在の日本代表の強みを「世界一のフィットネス」だけでなく、「戦術に幅があること」と胸を張る。

 ジョセフHCが就任した2016年から日本代表はどちらかというと、フィットネスをベースに相手と競り合うコンテストキックを軸に、自分たちからアンストラクチャー(崩れた状態)を作って、トライを奪うラグビーを展開してきた。端的に言えば、手数をかけずにトライを取るラグビーのため「ボール支配率が40%でも勝てるラグビー」ということになろう。

 しかし7月27日のフィジー代表戦は、相手がカウンターからトライまで持っていく能力が高いチームのため、ボールポゼッション(60%)を重視し、自然と61%とテリトリーの数字も高くなり、ラインアウトやスクラムといったセットプレーを起点としたアタックも冴えた。結果、ボールインプレー(プレーが途切れずに継続する時間)は27分台で、ジェイミー・ジャパンには珍しくストラクチャーラグビーを貫き34対21と快勝した試合となった。

 続く、8月3日のトンガ代表戦(41対7で勝利)こそ「アンストラクチャーラグビー」で勝負するのでは……と思っていた。ただ蓋を開けてみれば、ポゼッションは55%、テリトリーは54%、ボールインプレーは約30分となった。相手のラインアウトにプレッシャーを与えられていたという判断で、途中からラインアウトを増やしたことが功を奏した。ラインアウトの成功率は、日本代表は8/9で89%だったが、トンガ代表は8/20と65%の成功率に終わった。

 8月10日の最終戦は、従来のジェイミー・ジャパンが標榜していたラグビーを見せて34対20で勝利した。ボールポゼッションは43%、テリトリーは38%、ボールインプレーは31分だった。モールからのトライもあったが、カウンターからのトライもあり、ポゼッションやパスの回数はアメリカ代表の方が多かったが、ゲインメーター(ボールを持って走った距離)は609mでアメリカ代表の512mを上回り、有効なアタックができていたことを示している。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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