U-18侍J、いざスーパーラウンドへ結束 仲井コーチの喝「甘ないんじゃ!」の真意

沢井史

ポテンシャルを発揮する投手陣

アメリカ戦で先発した林はまずまずの投球内容だった 【Getty Images】

 投手陣では、飯塚脩人(習志野)の強心臓ぶりが目を引いた。

 アメリカ戦では相手の追い上げムードの中、7回の無死二塁のピンチで登板。4番打者を147キロのストレートで空振り三振を奪ったのち、5番打者に中越え三塁打を許して1点を失うも、その後は連続三振でピンチを切り抜けた。相手ベンチの独特の盛り上がりでプレッシャーがかかる中、冷静に低めにストレートを集めた。習志野で培ったクローザー経験が生きたのはもちろんだが、どんな状況でもブレないメンタルを持続できるため、今後もクローザーとしてマウンドで強い存在感を見せつけてくれそうだ。

 そのアメリカ戦で先発した林優樹(近江)は、立ち上がりから持ち前のテンポの良さを生かせず、やや悔しいマウンドとなったが、2回1失点ながら3三振を奪うなどまずまずの内容だった。140キロ台後半の速球を連発した前佑囲斗(津田学園)や、スペイン戦に先発した最速150キロ右腕・池田陽佑(智弁和歌山)、南アフリカ戦で5回無安打の快投を見せた浅田将汰(有明)なども、スーパーラウンドではどんな形でマウンドに上がるのか注目だ。

気になる佐々木、奥川の現況は?

2本柱として期待される、奥川と佐々木(写真左から)。スーパーラウンドに向けて状態は上がっているようだ 【写真は共同】

 投手陣の2本柱とされている佐々木朗希(大船渡)が大学代表との壮行試合直前にできた血マメの影響で、もう一人の柱・奥川恭伸(星稜)は準優勝した夏の甲子園の疲労を考慮して、オープニングラウンドは未登板のまま終わった。

 だが、ここ2、3日は連日ブルペンに入って調整を続け、順調な仕上がりを見せている。佐々木の息のこもったストレートが多く見られるようになったのはもちろんだが、奥川はフォームの細かい部分をチェックしながら投球を重ね、自ら納得のいく形を完璧に作ってから世界のマウンドに立ちたいという意思を強く感じた。この2人の登板はスーパーラウンドのどこで見られるのかに熱い視線が注がれているが、何よりベストコンディションの中で最高のパフォーマンスが見られることを期待したい。

 甲子園出場、未出場に関わらず、これまでの実績や能力を見極め、全国から選ばれて集まった20人の選手たち。ただ、ここまで来ると調子の良い選手、決してそうではない選手が徐々にはっきりしている。永田裕治監督が「20人全員が主役」と言うように、スーパーラウンドでは全員がどこかで力になる場面は必ずあるはずだ。日の丸を背負い、日本を代表してプレーできることに喜びを感じながら、20人で世界の舞台を満喫し、明日以降も思い切ったプレーを存分に披露してもらいたい。

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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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