大谷がメジャーのトップ打者になるために あえて課題に迫り、考察する
ミートポイントの奥行きを出すには
大谷は「前に出されかけても残す」打ち方の引き出しが少ないようだ 【Getty Images】
ミートポイントの奥行きを出すには、「腕が伸びた前寄りの完璧なポイント」で打てるのは当然として、「やや泳がされて前に出されても腕は残してヘッドを返す」打ち方、そして大谷が得意な「差し込まれかけても押し込んで反対方向に打つ」打ち方を身に付ける必要がある。大谷は、2点目の「前に出されかけても残す」側の引き出しがまだ少ないと言える。
もっとも、最近は左投手のアウトコースのカッターを前に出されかけても残してバックスクリーンに本塁打を放つなど、変化球に対し腕を残して打つ打ち方の引き出しが増えてきたようにも見える。
投手の左右で異なるアプローチ
昨季分が悪かった対左投手もアプローチを変えることで改善の兆しが見える。とはいえ、まだまだ試行錯誤を続けている毎日だろう 【Getty Images】
昨年悪かった対左投手での成績は向上してきており、克服はしてきているものの、まだ三振は多く、もろさも残る。これは日本時代からの課題でもある「肩の入り過ぎ」もあるだろう。今の角度では完全に自分の背中の後ろからボールが来るようなイメージで、ボールの角度と体が向かう角度も一致しない。
打撃では、対右投手と左投手で異なるアプローチが必要で、大谷もシーズン途中から対左投手時にオープンスタンスで構えることも増えてきた。自分の中でこうした課題にも向き合い、試行錯誤を繰り返している段階だろう。スタンスだけでなく、体自体の角度を修正することができたらワンランク上にいける。
最近では再び体が伸び上がるようにスイングする癖が出て、ヘルメットが浮き上がるのが気になるところだ。これもゴロが増える要因の一つでは、と見ている。
例えば前述したイエリチも、191センチの長身であるが体を沈み込ませることにより、スイングをアッパーにするのではなくレベルスイングをしながら、ボールの下にバットをくぐりこませている。これにより、元から優れたコンタクト能力と合わせて本塁打を量産することが可能となっている。
「トラウタニ」が最強デュオになるために
トラウト(写真右)との最強デュオを実現するには、大谷のさらなる進化は必須だ 【Getty Images】
既に162試合フル出場したとしたならば打率.300、35本塁打前後をメジャーの世界で打つ力を持っている。
打撃の間合いや技術、奥行きを身に付けたら、それこそ打撃でもメジャーのトップに近付き、チームメートであるマイク・トラウトの領域にもたどり着けることだろう。トラウトとのデュオ「トラウタニ」も、より最強に近付き、1920〜30年代のベーブ・ルースとルー・ゲーリッグ、60年代のロジャー・マリスとミッキー・マントル(ともにヤンキース)といった「伝説」と肩を並べることも可能となる。
そのためにも、打者・大谷のさらなる進化に期待したい。
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