JリーガーとBリーガーが日本代表を語り合う 橋本拳人(FC東京)×田中大貴(A東京)
共に首都東京のクラブで主力としてプレーをする2人の対談はA東京の練習場で実現。写真左が田中大貴、右が橋本拳斗 【写真:兼子慎一郎/バスケットボールキング】
東京にホームがあるクラブはリーグを代表しなければいけない
橋本 保育園に通っていた時に、サッカーのコーチが教えにきていて、そこで教わったのがきっかけですね。それから家の近くのクラブチームに入りました。
田中 バスケットボールを始めたのは小学校2年生の時です。周りの友達がみんなバスケットをやりだしたので、自分はそれについていったという形で始めました。
――当時、すでにJリーグがスタートしていたと思うのですが、サッカーを選ぶ可能性はなかったのですか?
田中 周りの友達がサッカーをしていれば自分もサッカーを選んだかもしれません。今思えば、たまたまバスケットボールだったっていう感じですね。
――橋本選手は学校でバスケットボールをしたことはありますよね?
橋本 結構やっていましたよ。サッカーもバスケットボールもボール1つとゴールがあれば気軽にできるスポーツなので、休み時間に体育館や校庭でやっていましたね。足が速かったので、ドリブルは好きでした。あとシュートを打った後のこぼれ球とか、リバウンドなどもかなり得意でした。サッカーをやっていたからなのか、反応が速かったので。
今回が初対面だった2人だが、橋本選手の人懐っこい性格もあり、会話は次第に盛り上がっていった 【写真:兼子慎一郎/バスケットボールキング】
田中 自分も中学ではよく休み時間にサッカーをして遊んでいました。やっぱり背が大きかったのでキーパーでしたけどね(笑)。
――橋本選手はBリーグの試合を見たことは?
橋本 ロアッソ熊本に期限付き移籍してプレーしていた時、熊本ヴォルターズの試合によく行きました。覚えているのが身体の大きなごつい選手が機敏に動いていたので迫力もあり、とても楽しめたことです。そのすごさや楽しさを知らない方も多いと思うので、一度見ればハマるスポーツかなと思います。
さらにびっくりしたのが、シュートがあれだけゴールに入ること(笑)。シュートを打てば入るという感じだったので、すごいなあと感心しました。
――田中選手はJリーグの観戦経験は?
田中 実はあまり見たことがないんです。FC東京のホームである味の素スタジアムの前は試合や練習の行き帰りに通るのですが。今度、ぜひ応援に行かせてください!
橋本 ぜひ一度観戦に来てください! 楽しんでいただけると思います。
田中 とても楽しみです! JリーグとBリーグはシーズンが違うので、オフになったらアリーナ立川立飛にも来てください。
橋本 もちろんです!
田中は中学時代サッカーをやるときはキーパーを担当していたと明かす 【写真:伊藤大充/バスケットボールキング】
橋本 日本の首都なので、東京はやっぱり一番強いチームでありたいという強い思いを持っています。ホームの味の素スタジアムには多くのファン・サポーターが訪れてくれるので、常に優勝争いができるチームでありたいと感じています。
今シーズンは首位を走っていますが(8月18日現在)、これまでリーグ優勝を経験したことがないので、優勝するチームがどういう雰囲気で準備して、そしてプレーしているのか正直分からない部分もありますが、このまま突っ走りたいと思っています。本当に今シーズンは優勝します。
――田中選手はいかがですか?
田中 大学4年からこのクラブでずっとプレーしていることもあり、愛着があります。また、東京のチームということでメディアに取りあげてもらうチャンスも多いですし、やっぱり、Bリーグを代表するチームでなければいけないと思っています。
4連敗のあと8連勝を果たしバスケW杯本戦出場
田中はW杯予選の連敗スタート時に「東京オリンピック出場もいよいよなくなるぞ」という雰囲気だったと振り返る 【写真:兼子慎一郎/バスケットボールキング】
田中 もうやばいなっていう感じでしたね。雰囲気も重かったです。しかもシーズン中に代表戦が行われていたので、試合が終わると自分のチームに帰るという繰り返しでした。次第にコミュニケーションも取りにくくなり、雰囲気も重かったのだと思います。正直、(自国開催の)東京オリンピック出場もいよいよなくなるぞ、という感じでしたね。
――しかし、そこから8連勝してW杯出場を勝ち取りました。
橋本 何か変わったことがあったのですか? 危機感(の芽生え)ですか?
田中 それはもちろんありましたが、それから米国で活躍していた渡邊雄太と八村塁、そしてニック・ファジーカスの帰化申請が通って、日本人としてプレーでき、戦力が充実したことも重要な要因でした。それまで苦戦していた高さの面でも、2メートルオーバーの身長を持つこの3人が加入したことも大きかったと思います。
橋本 他のメンバーはそのままですか?
田中 基本的には国内のBリーグでプレーしている選手が中心となります。先ほどの3人が一緒にコートに立って予選は戦っていませんが、オフェンス面でもディフェンス面でもチーム力をアップしてくれたと思います。
橋本 バスケットボールでは帰化選手は何人登録できるんですか?
田中 12名の登録の中で1人しか認められません。それまでの予選で戦ったフィリピンやチャイニーズ・タイペイにも帰化選手はいます。アジアでは帰化選手がいるチームが多いですね。
「普段はあまり緊張をしない方」という橋本も、代表戦では勝手が違ったという 【写真:兼子慎一郎/バスケットボールキング】
橋本 僕はまだ2回しか呼ばれていないですが、今年初めて日本代表に選ばれて、サッカーを始めた頃からの夢だったので、とてもうれしかったことは覚えています。それに今まで感じたことがないくらいないくらい緊張しましたね。普段はあまり緊張をしない方なのですが、代表戦はスタジアムの雰囲気も違うし、周りにいる選手は海外のクラブでプレーするすごい選手ばかりで。サッカーをしている以外の時間でも緊張しました。
田中 海外組とは交流がないのですか?
橋本 本当に初めて会う人ばかりで。テレビで見たことがあるぐらいでした。
田中 個人的なイメージですが、サッカーはあまり年齢の上下関係がないように感じます。実際はどうですか?
橋本 昔に比べたらその輪の中に入りやすい雰囲気だと思いますけれど、常連組の選手はオーラが違うんです。その中に放り込まれたら、かなりメンタルが強くないとすんなり入っていけないですね。食事の時も、初招集組で固まってしまって、あまりコミュニケーションが取れませんでした。
田中 すごくリアルな話ですね。
橋本 ピッチに入ればコミュニケーションは取りますけれど。
田中 タメ口で話す印象がありましたが。
橋本 絶対に無理です(笑)。