連載:欧州移籍マーケットの「勝者」と「敗者」

アザールとグリーズマン、成功するのは? スペイン“ビッグ2”の番記者同士が激論

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1億ユーロ以上の大金をつぎ込んで、いずれも28歳の大物アタッカーを獲得したマドリーとバルサ 【Getty Images】

 レアル・マドリーのエデン・アザール獲得とバルセロナのアントワーヌ・グリーズマン獲得は、今夏の移籍マーケットで大きな話題を呼んだビッグディールだ。では、より効果的で、チームにポジティブな影響を与える補強はどちらなのだろう。強烈なライバル関係にあるスペイン“ビッグ2”のそれぞれの主張を代弁するように、取材経験豊富な両チームの番記者同士が、熱いディベートを繰り広げる。

「25得点なんて期待は抱かないほうがいい」

ミゲル・アンヘル・ディアス(以下M・A・ディアス):やあ、リコ。今日の討論のテーマは、「この夏にアザールを獲得したマドリーと、グリーズマンを獲得したバルサ、どちらのほうがメリットは大きいか?」だ。

ミゲル・リコ(以下リコ):ひとつはっきりしているのは、2人ともクラブやサポーターから特大の期待をかけられているということだ。もちろんそれは、要求の高さの裏返しでもある。同じ1991年生まれの28歳で、移籍金額もグリーズマンが1億2000万ユーロ(約141億円)、アザールが1億ユーロ(約118億円)+最大3000万ユーロ(約35億円)のボーナスとほぼ同額。どちらもアタッカーだし、まあ、比較対象にはなるだろうね。

M・A・ディアス:ただ期待値で言えば、アザールのほうが大きいんじゃないかな。去年の夏にクリスティアーノ・ロナウド(現ユベントス)が退団してから、マドリー周辺では前線をけん引できる新たなエースの待望論が高まっていたからね。

リコ:おいおい、ちょっと待ってくれよ。確か去年の今頃は、こんな風に言っていたはずだ。「クリスティアーノの退団で失われる50ゴールは、ガレス・ベイル、マルコ・アセンシオ、イスコ、ルーカス・バスケスら他のアタッカーが分担することで、十分にカバーできる」とね。だから新たなFWを獲得する必要はないし、メルカード(移籍マーケット)にも目ぼしいタレントはいないと、そう豪語していたのはどこの誰だい?

M・A・ディアス:違うよ、あれはメディアの名前をかたったクラブ公認の一部スポークスマンが、勝手に吹聴していた夢物語さ。クリスティアーノは唯一無二のゴールゲッターだ。ただひとり、リオネル・メッシだけは肩を並べることができるけどね。

リコ:アザールがベイルの二の舞にならないことを祈っているよ(笑)。ひとつ忠告しておくと、アザールはあくまで優秀なアタッカーであって、決して一流のゴールゲッターではない。「年間25ゴール」なんて、淡い期待は抱かないほうがいいよ。チェルシーでの7シーズンで決めたゴールも100ちょっとだろ?(編集部・注/公式戦通算は110得点)

M・A・ディアス:それは分かっている。でも、アザールは攻撃の核となれる選手で、彼の加入による相乗効果は小さくないはずだ。実際、プレシーズンマッチでも良い兆候は見られたからね。チームメートはボールを持てば真っ先にアザールを探す。特にカリム・ベンゼマやイスコらとの連係はスムーズで、昨シーズンまでにはなかったコンビネーションによる崩しも可能になっている。それにアザールはプレースキッカーとしてもトップクラスだ。25ゴールは高望みだとしても、18〜20ゴールは計算できるんじゃないかな。
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