山崎悠麻に聞いたパラバドミントン観戦術 チェアワークを弄ぶ精密ショットの妙技
中国人選手のチェアワークの速さに注目
圧倒的に速いという中国人選手のチェアワークに注目してほしいと語る山崎 【写真:C-NAPS編集部】
私はチェアワークが速くないので、ショットの正確さや組み立てで勝負します。コースを狙ったショットで相手を動かしてショットミスを誘うのが私のプレースタイルですね。必然的にラリーも長くなるので、いかにミスなくラリーを続けられるかがポイントです。
パラリンピック本番でも、ショットで相手を揺さぶりながら勝負して得点を狙うタイミングを、試合をしながら状況判断することになるでしょう。ショットの種類を増やし、さらに正確性を高める事で中国勢のチェアワークの速さに対抗していきたいです。
試合中は、実はものすごく頭を使っています。パラバドミントンにはさまざまな身体的特徴を持つ選手がいるので、それぞれの対戦相手の個性を把握したうえで戦略を練ることが大切です。たとえば、片足がない選手であれば、その影響で動きづらいポイントを狙い打ちするなどの作戦を立てることもあります。
前後の動きが弱い人であれば前後に大きく揺さぶりをかけるなど、対戦相手によって戦い方を変えています。
「お母さんが頑張っている姿」を子どもに見せたい
女子ダブルスのパートナー・里見紗李奈(右)とは、今後の大会に向けて連携の精度を磨いている 【PARAPHOTO/共同通信イメージズ】
ダブルスは、パートナーの里見紗李奈(NTT都市開発株式会社)選手とペアを組んでからまだ8大会という段階ではありますが、中国ペアに勝って優勝も果たしました。結果は出ていますが、完成度は正直まだまだです。まずは自分たちのプレーを確立したいと思っています。自分たちの連携や精度を高めたうえで、中国勢がどのように対策を練ってくるのか。これからの対戦でしっかり見定めていきたいと思います。
東京パラリンピックで初めてパラバドミントンが採用されるので、出場すること自体に意義があります。パラバドミントンは、まだまだ競技人口が少ないですし、知名度もまだそんなに高くありません。私たちがパラリンピックで活躍することで、「私もやってみたい」という方を一人でも増やしていきたいです。
パラリンピックを通して障がいを抱えている方の選択肢の一つとして、パラバドミントンが広く認知されることを願っています。「パラバドミントンは障がい者が楽しめるスポーツ」だと広く浸透すれば、競技人口も増え、日本の競技レベルもさらに上がっていくはずです。競技の普及を目指す意味でも、自分たちが頑張ってたくさんの人に見てもらうことが重要ですね。
また、私は2児の母親でもあります。子どもが物事の分別がつく年齢になってきたこのタイミングで、東京パラリンピック出場の可能性があることを大変誇らしく思います。これまで、子どもたちにはたくさん寂しい思いをさせてきましたが、だからこそ「お母さんが頑張っている姿」を見せてあげたいです。そして、自分の子どもはもちろんですが、未来を担うすべての子どもたちにも私のように楽しく頑張れることを何でもいいので見つけてほしいですね。これからも多くの人に自分のプレーを通じて勇気を与えられるように頑張りたいです。