清水那月が空手を続けるモチベーション 結果を残すこと、それがみんなへの恩返し

岩本勝暁

自らが考える理想的な演武とは?

「形を打ち切ったか」「悔いなく気持ち良く打てたか」「見ている人の評価」。この3つが理想の演武につながるという 【岩本勝暁】

 空手の「形」は、架空の敵が四方八方にいることを想定して、攻撃と防御の一連の流れを演武する。審判の採点で勝敗が決まるのが特徴だ。技の理解度や正確性、パワー、スピード、バランスなどが判定の基準になる。

 長身を生かした清水の動きは、一つひとつがダイナミックだ。迫力もある。では、理想的な演武とはどのようなものだろうか。

「まずは形を打ち切ったかどうか。悔いなく気持ち良く打てたことが大前提です。それにプラスして、見ている人の評価が高いこと。あとは結果。この3つがそろって、はじめていい演武ができたと言えます」

「ゾーンってきっと、ひとつじゃない」

 現在、大学4年。卒論に大忙しだ。テーマは「ゾーンに入る心理状態」。

「楽しくなっちゃう時があるんです。何をやっても楽しい。それまでは、周りが何も見えなくなって、自分の世界に入っているのがゾーンだと思っていました。でも、ゾーンってきっと、ひとつじゃない。形を一つ打つことが楽しくなること。それが自分にとってのゾーンだと思って、勝手に作っちゃいました(笑)」

 両親、家族、恩師、友達――たくさんの人への恩返しをモチベーションにしている。

「とんでもない親不孝者ですよね。『ごめんね』って言ったことがあるんです。今でこそ『次世代メンバー』として強化合宿にも派遣していただいていますが、大学2、3年の頃は海外に行くのも実費でした。お金のこともあったので、親に『国内の試合だけで頑張ろうと思う』と言ったことがあります。そうしたら、『お金のことは気にしなくていいよ。自分がやりたいところまで、思い切りやってきなさい』と言ってくれました」

 東京五輪も視野に捉えている。簡単なことではない。それは分かっている。けれども、清水は極めて前向きだ。

「すごい先輩方が多く、層が厚いことは分かっています。でも、やれるところまでやろうと思っています」

空手は「呼吸をするような」存在に

あと1年に迫った東京五輪に向けては「やれるところまでやろう」と決意。結果を残すことで、たくさんの人に恩返しをと誓う 【岩本勝暁】

 アメが目当てで始めた空手は、意識しなくてもそこにある存在になった。例えるなら、人が「呼吸をするようなもの」だと言う。

「空手を好きであり続けること。それに加えて、私が結果を残せば、たくさんの人に恩返しができます。関西に来てからも、いろいろな人にすごく良くしてもらいました。高校の安斉先生や地元の先生方――結果を残すことでみんなに情報が入る。それが恩返しにつながると思っています」

 そう言って笑う顔はどこにでもいる大学生のようで、厳しい勝負の世界に生きる空手家のそれであった。

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著者プロフィール

1972年、大阪府出身。大学卒業後、編集職を経て2002年からフリーランスのスポーツライターとして活動する。サッカーは日本代表、Jリーグから第4種まで、カテゴリーを問わず取材。また、バレーボールやビーチバレー、競泳、セパタクローなど数々のスポーツの現場に足を運ぶ。

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