テニスプレーヤーに重要な“遊び感覚” 2人のコーチが語る、望月慎太郎の成長
欧米選手を相手に敗戦…磨いた自分のスタイル
13歳で渡米。体格の大きい欧米選手に敗れた経験も、進化の糧にしている 【写真:アフロ】
時に相手の攻撃を粘り強く凌ぎ、守りながらも配球や球種でジリジリと形勢を逆転しながら、最後は一気に仕掛けてボレーやスマッシュを叩き込む――。
そのような望月のスタイルを確立し、一層磨きを掛けていくためにも、山中が中村に求めたのが「究極のフィジカルを与えてほしい」ということ。もちろん中村にしてみても、これは腕の鳴るリクエストだろう。
「ここから先、筋肉の質を高めていけば、もっと反応が良くなる。体幹を鍛えれば、左右に振られても体がブレなくなるし、臀部(でんぶ)を強くすれば、チャンスで前に出るスピードも速くなる」と中村は言う。数多くのトッププレーヤーの指導経験を持つ中村からしてみれば、望月のフィジカルは、「まだまだジュニアレベル」。ゆえに、伸びしろも豊富だ。
ハードコートの全米が試金石に
ウィンブルドンジュニア優勝に喜ぶ“チーム望月”の面々。右端は山中夏雄コーチ 【写真:アフロ】
「プレッシャーを感じる全米で、どれくらいできるのか? 1回戦負けもありえるなかで結果が出せれば、ジュニアは卒業して、次のステージに進んでも良いと思います」
それが、“チーム望月”が共有する当面のビジョンである。
先の全仏オープン初戦で大逆転勝利を手にした時、望月は「世界の一番になるために来ている。こんなところで負けていられない」と言った。
目指す地点は、まだ視界の遠く彼方にある。だからこそウィンブルドンジュニア優勝も、快挙ではなく、壮大な夢へと続く階段だ。