「1強」から一転、「群雄割拠」の新時代 2019年インハイバレー【男子展望】

月刊バレーボール

激戦区・京都を制した東山。エースの高橋がチームをけん引する 【写真提供:月刊バレーボール】

 今年は宮崎県を舞台に行われる全国高等学校総合体育大会(インターハイ)、バレーボール男子は7月30日に開幕する(30日は開会式のみ、予選グループ戦は31日からスタート)。新時代最初の全国大会で、頂点に立つチームはどこか。見どころを紹介する。

激戦区、京都を制した東山

 昨年度の高校男子バレーボール界の中心にいたのは洛南(京都)。インターハイでは準優勝、その後の国体(京都府選抜)、春高バレーで優勝を果たし、高校2冠を達成した。毎年、全国大会の予選決勝が“最初の関門”と称される京都府において、昨年度は洛南の後塵を拝した東山が、この夏は2年ぶり(14回目)に全国の舞台へ帰ってくる。それも、他校から最も警戒される存在として、だ。

 今年の東山は、個々の力がそろっている点が特徴に挙げられる。エースの高橋藍は下級生時からレギュラーとして活躍してきたオールラウンダーで、高い決定力を備える。他にも中学生時代に全国制覇を経験している楠本岳や、打点の高さが魅力の花村和哉といったアタッカー陣が充実しており、楠本とともに中学時代を戦った中島健斗が彼らを操り、コンビバレーを組み立てる。加えて、チームにはかつて中央大を日本一へ導いた松永理生氏がコーチに着任したことで、より高いレベルでのバレーボールを展開できるようになっている。

 今年3月の全国私学大会こそ高橋を選抜合宿で欠き、ベスト4に終わったが、インターハイ直前に行われた近畿大会でも他を圧倒して優勝を遂げた。大本命として、いよいよ本番へと臨んでくる。

駿台学園、鎮西も有力候補

男子U19日本代表候補、伊藤が主軸を担う駿台学園も優勝候補の一角 【写真提供:月刊バレーボール】

 とはいえ、覇権争いは例年のごとく、し烈を極めることだろう。令和最初の夏のチャンピオンへ。昨年度は悔しい思いをしたチームはなおさらだ。

 2016年度に高校3冠を達成した駿台学園(東京/8年連続10回目)も優勝候補の一角。身長197センチを誇るミドルブロッカーの伊藤吏玖、高い位置からボールを配球できるセッターの森居史和はともに男子U19日本代表候補であり、チームでも主軸を担う。2人の高いパフォーマンスに加え、エースの染野輝も切れ味鋭いスパイクで勝利を呼び込む。彼らは下級生時からコートに立ってきたが、昨年度は全国大会こそ出場するも上位に食い込めず。戦力がそろっているからこそ、自分たちの手で日本一をつかみたいところだろう。

同世代を代表するエースの水町。鎮西でも先頭に立ってチームをリードする 【写真提供:月刊バレーボール】

 駿台学園と同様のケースが、今年度の鎮西(熊本/8年連続31回目)だ。17年度には高校2冠(インターハイと春高バレー)を手にしたが、翌18年度は全国大会でいずれもベスト4と、頂点にあと少しのところで涙をのんできた。同世代を代表するエース水町泰杜が先頭に立ち、高校ナンバーワンリベロの呼び声高い荒尾怜音や、前衛で存在感を放つ谷武珍らがチームをリードする。彼らは中学生時代にもJOCジュニアオリンピックカップ全国都道府県対抗中学大会(JOC杯)で熊本県選抜として日本一を経験し、「このメンバーで高校でも」を合言葉に進学したもの同士。高校生活ラストイヤーに懸ける思いは強い。

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著者プロフィール

1947年創刊。バレーボールの専門誌として、その黎明期から今日まで、日本のバレーボールを取り上げ、その報道内容は、全日本、Vリーグはもちろん、小・中・高・大学生、ママさんまで、多岐に渡る。

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