連載:未来に輝け! ニッポンのアスリートたち
視覚障害者柔道にニューカマー出現 競技歴わずか2年の瀬戸勇次郎
海外の戦い方も研究して
何度も何度も練習して技術を染み込ませるストイックさが武器。一方でアニメやゲームが好きだという、19歳らしい素顔も 【スポーツナビ】
「欧米やカザフスタンなどのアジアの強豪選手は、相手を引き倒すような変則的な戦い方をする。経験がなかったので、そういう戦い方に慣れなくてはいけないということも、痛感しています」
瀬戸の得意技は背負い投げ。相手の動きを瞬時に察知して、繰り出す。反射神経のようなもの、という。
「柔道を始めてから十数年、それしかやってこなかったから」
テクニックとして技をかけるというより、何度も何度も練習して身についたことだけが、試合に出るのだと語る。最近では、大内刈りもやっと体が覚えてきた、新しい武器だ。
「海外選手の変則的な戦い方への対応を含めて、これまでの自分のやり方だけでは勝ち続けることはできません。また、海外の選手はビデオ録画して対戦相手の分析もしっかりやっています。だから、映像で見てもわからないような細かな足技なども身につけていかなくてはいけないと感じています」
「勝つも負けるも自分次第。そこがいい」
「個人戦である視覚障害者柔道では、勝つも負けるも自分次第。そこがいい。視覚障害柔道で強くなるために、何にでも挑戦したいです」
伸び盛りの19歳。目指す目標は、やはり東京パラリンピック。
「まずは出場権をしっかり獲得すること。遠くの、大きな目標だけを見ているとコケてしまうので、そこまでの一つひとつの試合を大切にしていきたい」
東京の先、4年後のパリ大会も、8年後のロサンゼルス大会もある。視覚障害者柔道家としての歩みは、始まったばかりだ。