スポーツコードの担当者に聞くリアルタイム分析を支えるテクノロジー

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「スポーツコード」の担当者、高林諒一氏に話を聞いた 【Photo:hudl】

「タグづけ」「動画共有ソフト」――サッカーの現場で最近この言葉をよく聞く。リアルタイム分析のキーワードにもなるテクノロジーとは何なのか? 欧州サッカーのトップクラブにも浸透している「スポーツコード」の担当者、高林諒一氏にリアルタイム分析の現状を聞いた。

そもそも「タグづけ」って何?

──サッカーの、特に戦術分析の現場で最近タグづけだったり、タギングソフトの話をよく聞くようになりました。そもそも「タグづけ」って何でしょう?

 まず会社によって呼び方が違うというのがありまして、一番メジャーなのは「タグづけ」ではあるんですが、hudl社としては「コーディング」と言っています。僕たちは「映像に付箋を貼っていく作業」という表現をよく使っていて、フルマッチ90分ある中で、シュートだったら、ここから打ったとか、誰からパスを受けたとか、そういうワンプレーの詳細まで含めてシーンごとに情報の付箋を貼っていく作業をコーディングと呼んでいます。

──OptaとかWyscoutとかいろいろなデータ会社があります。hudlはどういう位置づけになりますか?

 大きく分けると、データを自分たちで作って配給している会社と、僕らのようにデータを作るソフトやサービスを提供している会社に分かれます。hudlは、データを配給しているわけではなくて、データを作るためのソフトを提供している会社とご理解ください。

──ということは『タグづけ/コーディング』はデータを提供してもらうわけではなく、チーム側が自分たちでやるんですよね?

 はい。とはいえ、チームのスタンスやアナリストの数にもよると思うのですが、基本的にコーディングは非常に時間がかかる作業なので、hudl社としてデータ作成の代行サービスも提供しています。また、他のデータ会社のデータを読み込むことも可能です。ただ、チームオリジナルのKPIは必ずあると思うので、そういうところを自分たちでコーディングすることでスポーツコードを使う意味が出てきます。いろいろなサービスをうまく組み合わせて使ってほしいというのが僕らのスタンスですね。

──hudl社のタギングソフトである「スポーツコード」は欧州サッカーの現場の人からよく名前を聞きますが、具体的には何ができるんでしょう?

 分析に関することをワンパッケージでできることが特徴ですね。うちはソフト会社なのでデータを供給する会社とも共存できるのですが、供給されるデータは各データ会社の基準で項目立てられたり、計測されたものです。シュートやタックルなど各スタッツにはそれぞれデータ会社の定義があります。一方で、スポーツコードはチームのKPI、フットボリスタ風にいえばゲームモデルによって、項目や定義を自由に変えられるのが最大のメリットです。なので、ゲームモデルの実現度を測る指標を作ることができます。

 あとは日本国内のアナリストは映像編集ソフトで映像を切る人が多いですが、それって大変ですし、見せ方にも限界があると思います。スポーツコードは分析のために作られているので、映像に単純にタグをつけるだけでなく、ドローイング、円や矢印を書いたりといったことが簡単にできますし、プレゼンテーションを作る機能もついています。あとはアーカイブ性ですね。映像をコーディングした後に、その項目がいつ、何回起こっていてというのを数値化していって、それを全部データとしてアーカイブできます。映像とデータが常にひもづいた状態になっているので、そこは映像編集ソフトとの大きな違いですね。

 最後のメリットは今回のテーマになってくると思うんですけど、試合中にリアルタイムで使えることです。映像に印をつけるだけなので、印さえついていれば、すぐにそこから再生できる。スポーツコードを使えば試合中に見たいシーンをすぐに再生したり、データもリアルタイムでどんどん更新できるので試合の中で即座に使えます。タグづけソフトというジャンルで言うと、リアルタイム性を持っているものと、持っていないものがありますが、スポーツコードに関していえばリアルタイム性と独自の指標を設定できる点が圧倒的な強みです」

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