八村塁で注目のNBAドラフトを解説 指名順の決定方法や今年の注目株は?

大柴壮平

今年は上位3位指名までほぼ当確

デューク大のザイオン・ウィリアムソン(左)とR.J・バレット。ともに今ドラフトの目玉で、3位までの指名が有力視されている 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 ドラフト当日は演壇の上で、コミッショナーのアダム・シルバーが1位から順番に指名された選手の名前を読み上げる。演壇の前にはグリーンルームと呼ばれるエリアがあり、NBAから招待された約20名の選手たちが、自分の名前が呼ばれる瞬間をこのエリアで待つことになる。先日、米国メディアが八村もグリーンルームに招待されたと報じた。選ばれし20名の枠に入ったことで、1巡目での指名により現実味が増した。その中で、今年のドラフトは上位3位指名までほぼ当確と言われている。

 1位指名間違いなしと評判なのが、高校時代からその才能を評価され、名門デューク大でもさらなる成長を見せたザイオン・ウィリアムソン。201センチ129キロというアメリカンフットボール体型ながら、試合中に軽々とダンクを連発する規格外の選手だ。

 2位指名権を保有するのは渡邊雄太が在籍するメンフィス・グリズリーズだが、おそらくマレー州立大のポイントガード、ジャ・モラントを指名するだろうと言われている。モラントはあまり強豪とは言えないマレー州立大をNCAAトーナメントに導いたばかりか、個人成績でもNCAA史上初となる平均20点、10アシストを達成した。近い将来、モラントからのアシストで渡邊がダンクを決めるシーンが見られるかもしれない。

 3位指名を有力視されているのは、ザイオンと同じデューク大のR.J・バレットだ。人材の宝庫デューク大で、しかもザイオンを抑えてリーディング・スコアラー(最多得点者)になったことは価値がある。

八村の予想指名順位は米メディアもばらばら

日本人初のドラフト1巡目指名が確実視されているゴンザガ大・八村塁。何位で指名されるか注目が高まる 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 上記3人以外の評価は、いわゆる団子レースだ。マラソンで言うところの第2集団に当たる彼らの評価は、各球団スカウトへの見本市であるドラフトコンバインや、球団単位やエージェント単位のワークアウトでの評価で、ドラフト当日まで日々変わっていく。日本中が注目する八村も、この第2集団の中にいる。大学では主にインサイドを主戦場としてきた八村だが、現代NBAに適応するにはペリメーター(ペイントエリアの外側から3ポイントラインの内側までのエリア)でのプレーを覚えなければならない。ワークアウトを通じてどれだけアウトサイドでの伸びしろをアピールすることができたかが、高順位指名へのカギとなる。

 米国有力メディアが予想する八村の順位には大きなばらつきがあるが、なかでも高い評価をつけているのは『SI.com』で、11位指名を予想。仮に11位でミネソタ・ティンバーウルブズ行きとなれば、若いカール・アンソニー・タウンズやアンドリュー・ウィギンズとともに1年目から主力として躍動する八村の姿が見られるだろう。

ドラ1ルーキーの年俸は指名順位で設定

 グリーンルームでは、選手たちが指名順位、指名チームに一喜一憂する。指名された直後にトレードが発生するケースも少なくない。昨年はアトランタ・ホークスが3位でルカ・ドンチッチを指名したが、その後すぐさまダラス・マーべリックスにトレードした。ホークスは元々トレイ・ヤングを狙っていたが、当時の評価は3位で取るには値しないというものだった。そこでどうしてもドンチッチを獲得したいマーベリックスが、3位でホークスにドンチッチを取ってもらう代わりに5位でヤングを指名し、そこに2019年の1巡目指名権を上乗せしてトレードを成立させたのだ。

 ホークス側はただで将来の1巡目指名権を手に入れることに成功、マーベリックス側は将来の1巡目指名権を諦める代わりに、4位指名権を持っていたグリズリーズにドンチッチを奪われるリスクを回避することができた。今年もドラフト当日にどんなトレードが起こるか、目が離せない。

 ちなみに、1巡目指名選手のルーキー契約の年俸は、指名された順位によって設定されている。【表3】の通り、指名順位によって年俸は大きく変わってくる(実際にはこの設定の80%から120%で契約が可能)。よってドラフト当日、選手たちは自分がどのチームでプレーするかと同時に、年俸がおよそいくらになるかを知ることになる。

『NBA League Pass』や『Rakuten NBA Special』などのネットサービスを利用すれば、世紀の瞬間を生で視聴することも可能だ。日本人初のドラフト1巡目選手誕生の瞬間が、すぐそこに迫っている。

【データ提供:ダブドリ】

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著者プロフィール

バスケ雑誌『ダブドリ』発行人。NBA Rakutenにて「大柴壮平コラム」を連載していたほか、『ダブドリ』にて仙台89ERSを追うコラム「Grind」、富永啓生選手のアメリカ挑戦を綴る「姿勢」を執筆している。ポッドキャスター(Trash Talking Theory、Mark Tonight NTR)、YouTuber(Basketball Diner)、フォトグラファーとしても活動中。

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