「ここでやれるところを見せないと」板倉滉は危機感を胸にコパ・アメリカへ
律の存在はめちゃくちゃ刺激になった
加入直後は積極的に輪に飛び込んでいったが、慣れてくるとおっくうにも。そのぶん、英語教師との関係を深めた 【佐野美樹】
フローニンゲンで中心選手としてやっていて、日本代表でも活躍している。それは、素直にスゴいなって思いますけど、やっぱり負けたくない、という気持ちもすごく強くて。そういった意味では、律の存在はめちゃくちゃ刺激になりましたね。
――堂安選手だけでなく、オランダ国内にも、近くのベルギーやドイツにも日本人選手が多くプレーしていますが、彼らと交流する機会はあったんですか?
(小林)祐希くんや大迫(勇也)さん、宇佐美(貴史)さんとかと会う機会がありました。やっぱり言葉に重みがあるし、雰囲気もある。厳しい環境の中で戦ってきたんだな、っていうのが感じられて、リスペクトが強くなったというか。自分も頑張りたいな、早く活躍できるようになりたいな、って思わせてもらいました。
海外でプレーしている選手がよく「早く海外に出たほうがいい」って言うじゃないですか。その気持ちが、すごく分かったというか。すべての経験が成長につながるんですよね。だから、自分ももっと早く来ていたら、もっと成長できたのかなって。
――過去の日本人のヨーロッパ挑戦を振り返ると、言葉の問題が大きいように感じます。その点はどうですか?
今、英語を必死に勉強中です(笑)。
――チーム内では、英語が使われているんですか?
チームミーティングとかはオランダ語なんです。チームメートの会話もオランダ語。だから、全然分からないんですけど、みんな英語が話せるので、英語でコミュニケーションを取っています。半年、勉強してきたので、ちょっとは成長しているかなと(笑)。
――加入した当初、英語すらままならないのに、チームメートの家に遊びに行ったそうですね。
そうなんです。溶け込まないと、と思ってガツガツ行きました。どんどん話して、映画も一緒に観に行ったんですけど、内容は英語だし、字幕はオランダ語なので、全然分からない(笑)。でも、とりあえず付いて行って。
ただ、環境に慣れて、落ち着いてきたら、出かけるのが面倒くさくなってしまって。やっぱり最初はノリとテンションだったので。ただ、チームメートと遊びに行く機会は少なくなりましたけど、英語の先生がすごくいい人で、その人の家に行ってご飯を食べさせてもらったりはしています。
試合をやりたくてウズウズしている
U-22日本代表では主力の板倉も、A代表は初選出。コパ・アメリカを機に日本代表定着を狙う 【写真:森田直樹/アフロスポーツ】
A代表に選ばれたのは、もちろんうれしいんですけど、それより、しっかりやらないとな、っていう気持ちが強いですね。
――しっかりやらないとな、というのは危機感から?
はい。フローニンゲンで1試合も出てないのに、代表に呼んでもらえた。ここで、やれるっていうところを見せないと先はない。そういう危機感がすごくあります。
――一方で、トレーニングで成長した姿を見せたい、という想いもあるわけでしょう?
もちろんです。試合をやりたくてウズウズしているし、さっきも言ったように球際とか成長している自信もあります。だから、なおさら試合でそれを見せないといけないな、と思っています。
――南米のA代表と真剣勝負をする機会はめったにないことですが、どんな経験をしたいですか?
ヨーロッパで活躍している選手も多いし、南米の選手はうまくて、強くて、したたかというイメージ。そんな相手に自分のプレーをぶつけたいですね。球際の強さのところで、どれだけ通用するのか。それを簡単に出させてくれないのが南米のチーム。負ける気はないですが、自分の立ち位置や足りないものも見えると思うので、そういったことは楽しみです。
この相手に対してアピールできたら、これから先も代表に呼んでもらえると思うし、自分にとってもすごく大事な大会だと思います。フローニンゲンで出られなかった悔しさを、コパ・アメリカでぶつけたいと思っています。
1997年1月27日生まれ。神奈川県横浜市出身。足もとの技術に優れたセンターバックで、ボランチもこなす。U-12から川崎フロンターレで育ち、2015年にトップチーム昇格を果たした。18年シーズンはベガルタ仙台に期限付き移籍し、レギュラーとして活躍。19年1月にマンチェスター・シティへの移籍と、フローニンゲンへの期限付き移籍を発表した。東京五輪代表には18年1月からコンスタントに呼ばれ、左センターバックとして主軸を務める。