メキシコ野球の特徴、現状を探る 侍Jにとっては“最高のパートナー”?
メンドーサなど技巧派投手が主戦力
メンドーサに代表される技巧派投手を多く擁するメキシコ。動くボール対策が課題とされる日本にとっては、絶好の相手だ(写真は日本ハム時代のもの) 【写真は共同】
昨年のU−23ワールドカップ決勝では、メキシカンリーグに所属する技巧派のメキシコ人投手に日本打線が沈黙、準優勝に終わってしまった。日米野球でも動くボールへの対策がテーマの一つとなっていたが、国際大会への適応力を見極める上では絶好の相手と言えるのではないだろうか。
少数ではあるがマニー・バレダやジェーク・サンチェス(ともにティファナ)のような150キロ級の速球派投手もおり、強化試合は2試合で全ての投手をつぎ込む形となるため、「データの少ない、初見のいろいろなタイプの投手がどんどん投入されてくる」という、さらに実戦的な要素も乗っかってくる。
一方の打線は、ジョーイ・メネセス(今季よりオリックス)や、ルイス・クルーズ(元千葉ロッテほか)らNPB経験者が軸となってくる。前述したように打者天国の環境から国内組の野手の実力を見極めるのは難しいが、ソイロ・アルモンテ(中日、17年までメキシコのモンテレイでプレー)のように、比較的標高の高くない都市をホームにして成績を残しているルイス・フアレス(ユカタン、昨年は打率3割5分2厘、19本塁打を記録)を要注意打者として名前を挙げておきたい。
リーグのバックアップを得て代表強化
メキシコはメキシカンリーグだけでなく、レベルや人気はそれ以上とされるウインターリーグ(メキシカン・パシフィック・リーグ)も開催され、一年を通じて野球ができる環境にある。そのため、シーズン外に行われる試合では、試合勘やコンディション面において日本より有利になる。3月上旬に行われる今シリーズでも同じような条件にあるため、予想以上に苦戦を強いられるかもしれない。
メキシカンリーグは昨年から2シーズン制を導入するなどリーグ改革に踏み切っているが、その発展の手段の一つとして国際大会への積極参戦も含まれている。昨年にはリーグそのものがWBSC(世界野球ソフトボール連盟)に加盟。Uー23ワールドカップで優勝を果たし、五輪予選も兼ねる今年11月のプレミア12でも開催国の一つとなっている。リーグのバックアップを得て代表の強化が進めば、もともとメキシコ野球が持っているポテンシャルを考えると、来年の東京五輪でもダークホースになり得る。
ボールを動かす技巧派投手中心の構成、ならびにウインターリーグを戦った選手が多く名を連ねるコンディションの良さを考えると、日本にとってメキシコは強化試合の相手として“最高のパートナー”の一つと言える。侍ジャパンに続いて、国内プロリーグの協力を得て代表の継続的な強化・ブランド化に取り組むチームが出てきたことも、世界の野球界にとって意義深い。今シリーズは、両国にとって実りの多いものとなるのではないか。