L・ダミアンら新戦力との融合を探る川崎 鹿島戦で問われる新チームの真価

原田大輔

ゼロックス杯を制した王者川崎。真価が問われるのは次節の鹿島戦だ 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 今季の川崎フロンターレは、J1リーグ3連覇とAFCチャンピオンズリーグ(ACL)をはじめとするカップ戦の優勝を目指している。

 新シーズンの開幕を告げるFUJI XEROX SUPER CUP(ゼロックス杯)では、浦和レッズを相手に新戦力のFWレアンドロ・ダミアンが初ゴールを挙げて1−0で勝利した。一方、FC東京とのJ1開幕戦では、ゴールネットを揺らすことができず、0−0で引き分けている。

 それだけに、チームの真価が問われるのは、「フライデーナイトJリーグ」として、3月1日の金曜日に開催される鹿島アントラーズ戦になりそうだ。

L・ダミアン加入の影響は?

今季川崎の1トップを努める、新戦力のレアンドロ・ダミアン(9番) 【写真:つのだよしお/アフロ】

 今季の川崎を見るうえでポイントとなるのは、やはり新戦力の融合であろう。ここまで戦った公式戦2試合では、ともにレアンドロ・ダミアンが1トップで先発起用されている。ゼロックス杯では、決勝弾となる豪快なゴールを叩き込んだだけでなく、前線から積極的にプレッシャーをかけ、守備のスイッチャー役も担っていた。後半に入ってもその献身性は失われず、初めて同じピッチに立った選手たちも、「こんなにやってくれるとは思わなかった」と舌を巻いたほどだった。

 ただ、続くFC東京戦では、この献身性が鳴りを潜めた。ホーム・等々力に初見参したレアンドロ・ダミアンは、全体的に運動量が少なく、いわゆる試合から消えている時間帯が多かった。J1連覇を達成した川崎の原動力のひとつに、「前線からの連動した守備」がある。1トップを務める選手、昨シーズンまでならばFW小林悠が、高い位置から相手にプレッシャーをかけ、2列目、3列目がそれに呼応。これにより、高い位置でボールを奪うことで相手を押し込むか、速い攻撃を仕掛けて得点を奪っていた。

 前節ではFC東京がそれを許さなかったという背景もあるが、レアンドロ・ダミアンがスイッチャー役を担えなかったことで、川崎の攻撃はやや迫力に欠けた。また、188センチというレアンドロ・ダミアンの高さを生かそうと、シンプルにクロスを入れる場面も見られたが、開幕戦では本人のシュートが0本と不発に終わった。

 また、1トップをレアンドロ・ダミアンが担うことで、昨シーズンまで前線を務めていた小林は右サイドに、右サイドを務めていたMF家長昭博は、左サイドへとポジションを移している。左右が変われば、見える景色も違うため、家長は「仕掛ける角度も変わってくるので、コンビネーションも含めてイチから探っている段階です」と話す。小林も「自分もクロスは上げられるし、逆サイドからのクロスのときには、ダミアンに相手DFが食いつくと思うので、そこを越えたところに入っていきたい」と、今季のチームで生きる術(すべ)、可能性を探っている。

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著者プロフィール

1977年、東京都生まれ。『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めた後、2008年に独立。編集プロダクション「SCエディトリアル」を立ち上げ、書籍・雑誌の編集・執筆を行っている。ぴあ刊行の『FOOTBALL PEOPLE』シリーズやTAC出版刊行の『ワールドカップ観戦ガイド完全版』などを監修。Jリーグの取材も精力的に行っており、各クラブのオフィシャルメディアをはじめ、さまざまな媒体に記事を寄稿している。

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