「プッシュアウト」改善に必要な「ウッ」 力を入れるタイミングの身に付け方

吉田洋一郎

【Getty Images】

 ゴルフスイングコンサルタントの吉田洋一郎が「ワンランク上のスイング」をテーマに、ワンポイントレッスンをお届けするこの連載。第3回は打ち出しから右方向に出てしまう「プッシュアウト」の修正。体重移動を意識すると出やすくなるというプッシュアウトの直し方は?

体重移動を意識しすぎ?

 打った瞬間、右に真っすぐ抜けていくプッシュアウト。同伴者からは「球筋は悪くなかったんだけどねぇ」などとフォローの声がかかる。「あの球が真っすぐ打ち出されていれば……」と何度悔しい思いをした事か数えられない人も多いのでは。

 プッシュアウトはプロの試合でもよく見かけるミスだ。

 最近ではPGAツアーに復帰したタイガー・ウッズ(米国)が、ティショットで何度かプッシュアウトを見せて調整の遅れを指摘されている。プッシュアウトの原因は、プロもアマチュアも“タイミング”にある。
 切り返しの際、一定のタイミングで力を入れられれば、毎回軌道とクラブフェースが適切な状態でインパクトを迎える事ができるが、切り返しからインパクトにかけてのタイミングがずれてしまうとプッシュアウトにつながる。

 特にアマチュアは体重移動を意識するあまり、下半身が目標方向にスライドしてしまい、クラブが振り遅れとなりインパクトでフェースが戻り切らず開いて当たってしまうケースが多い。そして体重を左側に移そうと意識する人は、切り返しの一点で力を入れるのではなく、ダウンスイング中にずっと力を入れている人がほとんどだ。

力を入れるポイントは「線」ではなく「点」



 バケツでたくさんの水を遠くにまく事を想像してみてほしい。

 バケツを揺らすように勢いをつけ、切り返しのタイミングで「うっ!」と力を入れて勢いをつけるはずだ。こんなことを考えながらバケツで水をまいている人はいないだろうが、そうする事がもっとも効率よくバケツの水を遠くにまく方法である。

 切り返しからバケツの水が飛び出す(つまりインパクト)までずっと力を入れ続けてしまっては、バケツの水は遠くに飛んでいかない。

 おそらくPGAツアーで最も遠くにバケツの水をまくことができるのは、2017年に平均飛距離317.2ヤードでドライビングディスタンス1位に輝いたロリー・マキロイ(北アイルランド)だろう。ダウンスイングで下半身を深く沈みこませる動きで地面を押し、その反力を利用してクラブを加速させている。

 この動きを掛け声にすると、「うりゃー」でも「うぉー」でもなく、「うっ!」だ。長い時間力を入れ続けるのではなく、一瞬だけアクセルを踏み、あとは惰性に任せてバケツ(クラブ)を動かす。

 難しい話になるので省略するが、切り返して一瞬力を入れて振り下ろされたクラブは、遠心力や慣性の力など様々な要素が加わり加速していく。つまりインパクトまで力を入れ続けなくても、最初の動き出しさえ助けてあげれば、クラブは勝手に動いてくれる。クラブを信じてみよう。

 1点注意したいのは力を入れるポイントはインパクトではなく、切り返しという点だ。インパクトで力を入れるとタイミングが遅すぎるし、何より力みにつながり、他のミスを誘発する。クラブを動かすために切り返しで力を入れる、という事を覚えておいてほしい。

 日常生活の中ではバケツで水をまくシーンには遭遇しないと思うので、今日の風呂掃除を引き受けてみて、風呂場で壁に向かって水をまいてみよう。プッシュアウトは無くなりお風呂もきれいに、一石二鳥だ。

※この記事は2018年3月5日にスポーツナビで配信した記事を再掲載したものです
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著者プロフィール

シングルプレーヤーを目標達成に導くゴルフスイングコンサルタント。世界で最も有名なゴルフインストラクター、デビッド・レッドベターから世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。毎年数回ゴルフ先進国アメリカやヨーロッパに渡り、PGAツアー選手を指導する一流インストラクターに直接学ぶなど、心技体のゴルフ最新理論に関する情報収集と研究活動を行っている。実際に教えを受けた著名ゴルフインストラクターの数は100名を超える。監修した書籍「ゴルフのきほん」は30,000部のロングセラー。ゴルフ雑誌、スポーツ新聞にて連載を3つ持ち、世界のゴルフティーチングに関する情報発信を行っている

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