手打ちにありがちな「カットスライス」 改善のポイントは左かかとの動かし方!

吉田洋一郎

【Getty Images】

 ゴルフスイングコンサルタントの吉田洋一郎が「ワンランク上のスイング」をテーマに、ワンポイントレッスンをお届けするこの連載。「100は切ったけれど、そこからスコアが伸び悩んでいる」という“プレ中級者”に向けて、ありがちなミスを修正するヒントを伝授します。

 連載第1回は「カットスライス」について。

カットスライスが多い理由

 平均スコアが90〜110のアベレージゴルファーのスイングに最も多いのが、切り返しで上半身が先行して手打ちなることで起こる「カットスライス」。クラブと体が接しているのは両手のみなので、「ボールに当てる」意識が強ければ、手元でクラブを調整しようとするのはごく自然のことだ。

 仮に自分のスイングが手打ちだからと言って「センスがない」と絶望したり、自分を必要以上に責めないでほしい。「自然の摂理に従った結果」程度に受け止めてもらえれば大丈夫だ。

 しかし残念ながら手打ちはスライスとセットの関係にあり、スコアの伸びを妨げるものだ。手打ち、つまり切り返しを上半身先行で行った場合、クラブの軌道はアウトサイドインになる。高い場所にあるものを振り下ろすとき、(後方から見て)外側から内側に振り下ろしたほうが力を出しやすいからだ。結果、ボールは垂直軸に対して右回転が強くなり、右の林に力のない球が消えていくことになる。


 これを直すには上半身の力を抜くとよい。「ひよこを包み込むような力でグリップを握り、下半身リードを意識し……」など、こういったアドバイスをよく耳にするだろうが、ほとんどアマチュアはそれができない。なぜなら「クラブをボールにちゃんと当てたい」から。結果、手でクラブを操作しようとして上半身先行になる。

 そこで“かかと”に意識を向けてほしい。

PGAイチの飛ばし屋もやっているヒールアップ

 誤解を避けるためにお伝えすると、先述の「切り返しは上半身の力を抜き、下半身リードで云々……」というのは正しい動きだ。プロゴルファーは漏れなく実践できている。

 しかしアマチュアは、意識的に上半身の力みを抜く事ができない。だからほかの箇所に力を入れるとよい。それが左のかかとだ。
 多くの人は同時に複数の箇所に力を入れる事ができない。特に、一連の流れを止めずに行わなければならないゴルフスイングであればなおさらである。

 かかとの力の入れ方はPGAツアー屈指の飛ばし屋、バッバ・ワトソンがお手本だ。テークバックで目標側(右打ちなら左)のかかとを上げ、切り返しで上げたかかとを踏み下ろす。いわゆるヒールアップと言われる動きだ。

 テークバックで上げるかかとの高さはスマホの厚さ程度でよい。ヒザの位置が多少、後方(目標とは逆側)に流れてしまっても構わない。大きくかかとを上げる事を意識したり、ひざの位置を変えないよう動きに制約を掛けると、別のミスにつながりやすくなる。

 切り返しでは、上げたかかとを真下にグンっと踏み込む。このかかとの動きを意識する事で、上半身の力みが弱くなり、下半身リードも身につける事ができるだろう。頑固なスライスはかかとの意識で直るのだ。
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著者プロフィール

シングルプレーヤーを目標達成に導くゴルフスイングコンサルタント。世界で最も有名なゴルフインストラクター、デビッド・レッドベターから世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。毎年数回ゴルフ先進国アメリカやヨーロッパに渡り、PGAツアー選手を指導する一流インストラクターに直接学ぶなど、心技体のゴルフ最新理論に関する情報収集と研究活動を行っている。実際に教えを受けた著名ゴルフインストラクターの数は100名を超える。監修した書籍「ゴルフのきほん」は30,000部のロングセラー。ゴルフ雑誌、スポーツ新聞にて連載を3つ持ち、世界のゴルフティーチングに関する情報発信を行っている

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